2022 Fiscal Year Research-status Report
Effect of dystrophin deficiency on sperm motility.
Project/Area Number |
22K15447
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
峰岸 かつら 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 室長 (60568814)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | デュシェンヌ型筋ジストロフィー / ジストロフィン / ユートロフィン / 精子 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
DMDは、Duchene (デュシェンヌ)型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy: DMD)の責任遺伝子として単離された。DMDは、X染色体上に存在する遺伝子であり、DMD遺伝子の産物であるジストロフィン・タンパク質は筋組織に発現している。DMD患者では進行性の筋萎縮・筋力低下が生じることが知られている。 ジストロフィン・タンパク質の筋組織における機能についての解析は古くから進められている。一方でDMDの遺伝子産物であるジストロフィンには各種アイソフォーム(Dp)が存在し、筋組織以外においても発現がみられる。本研究の研究代表者は中でも精子におけるジストロフィンおよびジストロフィンのホモログであるユートロフィンの発現に着目した。Dmd遺伝子に変異を持つDMDモデルマウスmdx3CVでは精子の運動能の低下がみられたことから、ジストロフィンは精子の運動に関与していることが示唆される。 細胞の運動にアクチン骨格が関与していることは広く知られている。それに加えてアクチン骨格は精子の先体の形態形成にも関与していることが示唆されている。筋組織において、ジストロフィンは細胞質内のアクチンと結合し細胞膜の糖タンパク質と複合体を形成することで筋細胞の構造を維持している。このことから、本研究の研究代表者はジストロフィンが精子においてもアクチン骨格系を制御することで、「精子の運動」および、「先体の形態形成・維持」に関与しているのではないかと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究代表者によって、ジストロフィンおよびユートロフィンが精子の鞭毛に加え特に頭部の先体(acrosome)に強く局在していることが明らかになり、さらに、Dmd遺伝子に変異を持つDMDモデルマウスmdx3CVだけではなく、mdx23, mdx52とユートロフィンのダブル変異マウスにおいて精子の運動能が低下することが明らかになった。 本研究は、ジストロフィンとユートロフィンの精子での機能を明らかにすることによって精子の構造および運動を制御するメカニズムの解明を目指している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今までの実験の結果を踏まえてジストロフィンアイソフォーム(Dp) の発現パターンが異なる複数のDMDモデルマウスやユートロフィン変異体マウスを用いて引き続き検証する予定である。本研究は、ジストロフィンとユートロフィンの精子での機能を明らかにすることによって精子の構造および運動を制御するメカニズムの解明を目指している。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行によって、国際学会や他府県への国内学会に行くことができなかった。そのため次年度への使用額が生じた。
|