2022 Fiscal Year Research-status Report
腹腔内カンジダ症における病態解析と新たな治療戦略の開発
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22K15459
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
芦澤 信之 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (30869037)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腹膜線維症 / カンジダ腹膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022(令和4)年度は、これまでに確立したCandida albicans腹膜炎マウスモデルを用いて、既に治療効果について報告したミカファンギン以外の抗真菌薬について評価した。具体的には、Candida albicans感染症に対して標準的に使用される抗真菌薬であるフルコナゾールによる治療実験を試みた。今回、フルコナゾールの至適投与濃度を検証した。Candida albicansの腹腔内接種菌量は、5×10^7 CFU/mL/mouseとした。0.1%クロルヘキシジンを3週間かけて計9回腹腔内投与することで作製する腹膜線維症マウスモデルと、対照群の非腹膜線維症マウスそれぞれに対して、既報を参考に、フルコナゾールを0mg/kg、2mg/kg、5mg/kg、50mg/kg、125mg/kgの用量で投与した。感染2時間後に初回投与を行い、以降6日後まで連日、計7日間皮下注した。治療開始7日後までの評価で、非腹膜線維症マウス群では2mg/kg以上の投与で死亡せず、腹膜線維症マウス群では5mg/kg以上では死亡しなかったものの、2mg/kgにおいて無治療群と同等の生存率であった。今後再現性を評価したうえでフルコナゾールの皮下投与量を最終決定する。 臨床の現場では腹膜線維症存在下でカンジダ腹膜炎を発症することがある。しかし、こういった背景における感染様式は明確になっておらず、抗真菌薬選択に関するエビデンスに乏しい。本研究では、腹膜線維症存在下でのカンジダ腹膜炎における、各菌種による感染様式や、各抗真菌薬の治療効果について解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022(令和4)年度も、新型コロナウイルス感染症の影響が多少あり、本研究における実験系では約1か月の期間を要するため、実験計画の設定が困難で、進捗に多少遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
腹膜線維症の有無における、Candida albicans腹膜炎マウスモデルに対するフルコナゾールの治療効果を評価するため、フルコナゾールの至適投与濃度について改めて評価を行い決定する。決定後、臓器・血液内生菌数、病理所見の比較検討を行う予定である。 また、Candida albicans以外の菌種の評価として、侵襲性カンジダ症の原因菌種として比較的頻度の高いCandida glabrataについて解析する。まず、腹膜線維症の有無がマウスモデルにおいて予後に影響を及ぼすか、接種菌量を評価したうえで検討し、その後、臓器・血液内生菌数、病理所見の比較検討を行う。もし高菌量で致死的とならない場合でも、臓器・血液内生菌数や病理学的評価を行い、Candida albicansとの感染様式の差異を評価する。
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Causes of Carryover |
研究進捗に記載のように、研究計画実行にやや遅延が生じ、購入予定のものが次年度に繰り越したことが理由である。現在予定している、他菌種や他薬剤による検証実験のために使用を計画している。
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