2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒト由来Pseudomonas属菌株の菌種再分類及び臨床細菌学的特性
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22K15460
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
遠矢 真理 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 主任研究官 (20804694)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Pseudomonas / 全ゲノム解析 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pseudomonas属菌は、300菌種以上が属し細菌のなかでは大きな属の一つである。また近縁な菌種の場合、Pseudomonas属菌は菌種間の16S rRNA遺伝子配列の相同性が99%を超える場合があり、正確な菌種同定が難しい属である。 研究代表者は、研究協力者が2019年から2020年に東南アジアで行ったカルバペネム耐性サーベイランスで分離した87株のグラム陰性桿菌の菌種同定をおこなった。菌種同定機器 (Vitek) で1次スクリーニングを行ったところ、Pseumonas属もしくは以前にPseudomonasとして分類されていた属と分類された株は13株あった。これら13株の全ゲノム情報を取得し、そのゲノムデータを基にした菌種同定解析、ANI(Average nucleotide identitiy)とdDDH(digital DNA-DNA hybridization) 解析を行った。ANIとdDDHの結果とVitekでの結果を比較したところ、VitekでP. aeruginosaとして同定されているものはANIやdDDH解析でもP. aeruginosaと同定された。一方VitekでStenotrophomonas maltophiliaとして同定されたものはStenotrophomonas属の別菌種もしくはPseudomonas菌種と同定される株があった。分類した13株の薬剤感受性試験を行ったところ、イミぺネムやメロぺネムに耐性を示しており、半数の株ではアルベカシンとアミカシンが高度耐性を示していた。薬剤耐性遺伝子の検索を行い、薬剤感受性の結果と照らし合わせたところ、カルバペネム耐性に関連する遺伝子をすべての株が持っており、カルバペネム耐性の機序の説明ができた。一方で、アルベカシンとアミカシンが高度耐性については、一部の菌では機序を説明できないものもあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属研究機関の移動があり、研究を一時中断しなければならない期間があった。 また実験を行う上での追加の申請手続きも出てきており、実験ペースが当初よりも遅くなってしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
Pseudomonas属菌種がそろってきたので、それぞれの菌種のカイコへの接種試験をおこなう。カイコに菌株を接種し、生死観察を行い、それぞれの菌株のLD50を決定する。 また全ゲノム情報から薬剤耐性に関与しうる新規の候補遺伝子をみつけ、クローニングをおこない、新規薬剤耐性遺伝子の検索を行う。
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Causes of Carryover |
所属機関の移動があり当初の研究計画自体がストップしていた時期もあった。 また、研究計画当初買う予定で計上していたパソコンと同等のスペックのものがすでに用意されており、買う必要がなくなったため差額が生じている。
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