2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of cell wall remodeling of filamentous fungi focusing on the functions of alpha-1,3-glucanases
Project/Area Number |
22K15464
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宮澤 拳 国立感染症研究所, 真菌部, 研究員 (30880231)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 糸状菌 / 細胞壁 / α-1,3-グルカン / 糖質加水分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞壁は絶えず再構築が繰り返されているが、その機構は関与する酵素の活性の解析を通して予測するしかなかった。本研究では病原性糸状菌Aspergillus fumigatusにおけるα-1,3-グルカナーゼに着目し、細胞壁再構築機構と本菌の病原性について解析しようとするものである。 令和4年度には、A. fumigatusの7種のα-1,3-グルカナーゼ遺伝子についてリアルタイムPCRにてその発現量を解析し、うち3種(Agn2, Agn4, Agn5)が主に機能していることが示唆された。そこで、上記3種についてピキア酵母の発現系を構築し、精製酵素を得た。α-1,3-グルカンを基質として3種の酵素の加水分解活性を評価したところ、Agn2, Agn5については加水分解物が観察された一方、Agn4については加水分解活性が認められなかった。 また、令和4年度にはA. fumigatus α-1,3-グルカンの再構築機構を解析する目的で、A. fumigatusの培養時間ごとの細胞壁α-1,3-グルカン量と分子量を評価した。その結果、α-1,3-グルカン量は培養24-72時間で明瞭な変化はなかったものの、α-1,3-グルカン分子量は培養後期に低下する傾向が認められた。 令和4年度には更に、α-1,3-グルカナーゼの酵素活性評価に用いるため、3種存在するα-1,3-グルカン合成酵素遺伝子(ags1, ags2, ags3)のそれぞれの高発現株を作製し、菌糸細胞からα-1,3-グルカンを得た。現在、各株由来のα-1,3-グルカンの化学構造解析およびα-1,3-グルカナーゼによる加水分解活性について評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糸状菌の形質転換に用いる酵素の終売の影響でプロトコルを見直したため、令和4年度に予定していたα-1,3-グルカナーゼ遺伝子破壊株および高発現株の作製を現在も引き続き進めている。一方、親株としたA. fumigatus株の培養フェーズとその細胞壁α-1,3-グルカン化学構造について先んじて解析を進めた。ピキア酵母における組換え酵素発現系は順調に進み、令和5年度に予定していた酵素活性の解析を令和4年度中から開始した。以上のことから、本課題はおおむね順調に進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度には、令和4年度に引き続き菌株の作製を進める。また、令和4年度に得た酵素の加水分解・糖転移活性の評価を進める。併せて、α-1,3-グルカン合成酵素遺伝子の高発現株由来のα-1,3-グルカンの化学構造解析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、学会がオンライン開催となり、予定していた旅費支出が少なかった。消耗品類の支出が予定していたよりも少なく抑えられた。
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