2022 Fiscal Year Research-status Report
B型肝炎ウイルスの増殖を調節する新しい宿主micro RNAの研究
Project/Area Number |
22K15471
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小野村 大地 自治医科大学, 医学部, 助教 (00910697)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | B型肝炎ウイルス / マイクロRNA / 抗HBV薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、HBV感染におけるマイクロRNA-X (miR-X)の機能を明らかにすることである。 まずmiR-XがHBV RNAに直接結合しうるか調べるため、HBVのゲノム領域を6つのフラグメントに分割し、それぞれのフラグメントをルシフェラーゼ遺伝子の3'UTRに挿入したレポータープラスミドを作成した。これらのレポータープラスミドを用いてmiR-Xの結合部位の有無を調べたところ、miR-XはHBV RNAのポリメラーゼ遺伝子領域に結合し、RNAの不安定化を誘導することを見出した。次に、miR-XはHBVタンパク質の発現によって誘導されるものであることが明らかとなっているため、HBVタンパク質の蓄積による小胞体ストレスがmiR-Xの発現誘導に関わっているのではないかと考えた。小胞体ストレス誘導剤をHepG2/NTCP細胞に処理し、miR-3145の発現レベルの変化を調べたところ、小胞体ストレスの誘導により、miR-Xの発現レベルが上昇することが分かった。また、シャペロンタンパク質であるBinding immunoglobulin protein (BiP)をHepG2/NTCP細胞に発現させたところ、miR-Xの発現が低下したことから、miR-Xの発現は小胞体ストレスによって誘導されることが示唆された。以上の結果から、miR-XはHBVのタンパク質発現に伴う小胞体ストレスによって誘導され、HBV RNAに直接結合することで抗HBV活性を発揮することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miR-XのHBV RNAにおける結合部位の同定を行い、miR-XがHBVのポリメラーゼ遺伝子領域に結合することにより、HBV RNAの不安定化を誘導していることが示唆された。また、miR-Xの発現誘導機構についても調べ、HBVタンパク質の発現による小胞体ストレスがmiR-Xの発現誘導に関わっていることも明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
miR-Xの標的宿主遺伝子の同定を行い、その宿主遺伝子のHBV感染における役割を明らかにする。 また、miR-X欠失ヒト肝細胞移植マウスと野生型のヒト肝細胞移植マウスを用いて、miR-XがHBVの感染、増殖にどのような影響を与えるか調べる。
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Causes of Carryover |
実験試薬の使用において、所属研究室に常備されていた試薬を利用する機会が多かったため、支出額が予定していた額よりも少ない金額となった。差額となった金額は次年度のマウス実験に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)