2022 Fiscal Year Research-status Report
HCVを基盤としたRNAウイルス変異動態の数理モデル化
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22K15472
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上田 優輝 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (90756074)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / ゲノム / 長期複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
C型肝炎ウイルス(HCV)は、肝臓内での長期的なウイルスの感染・増殖によってウイルスゲノムに遺伝子変異が蓄積することが薬剤耐性変異や治癒後の肝発癌の原因と考えられる。しかしながら、HCV持続感染系の長期的な維持は難しく、構造領域の欠損などが頻繁に起こってしまうため遺伝子変異蓄積の多様性にアプローチした研究はあまりなされていない。本研究では、HCVの細胞内複製モデルを10年以上に渡り継代培養し、HCVゲノムを第3世代ロングリードシークエンサで長期的な変異動態の詳細を明らかにするだけでなく、そのデータを数理モデル化し、新型コロナウイルスなどを含めたRNAウイルス進化モデルへの応用を目指している。本年度の研究では、我々が樹立し、12年間継代培養を続けていた2系統のHCV細胞内複製モデル(sO細胞と50-1細胞)についての継代培養を継続し、培養期間が13年に到達した。13年継代細胞においても細胞内HCVのmRNA複製レベルは樹立時と比較して高いレベルを維持しており、細胞増殖能については12年目の細胞より亢進していることがわかった。サンガー法による簡易的なシークエンス解析からは、HCVゲノム領域に欠損は認められず、ウェスタンブロット解析においてもウイルスタンパク質の発現が全て認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的として一番重要な13年間の継代培養が達成でき、予備的な評価からも第3世代ロングリードシークエンサによるHCVゲノム解析に使用可能であることが明らかになったため(2)おおむね順調に進展している。を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作成した13年間継代培養した2系統のHCV細胞内複製モデル(sO及び50-1細胞)とそれまでに定期的に保存してきた各年数の細胞について第3世代ロングリードシークエンサによるHCVゲノム解析を行い、それぞれの配列を比較することによってHCVゲノムの長期的な遺伝子変動を明らかにする。このデータを数理モデル化し、新型コロナウイルスなどを含めたRNAウイルス進化モデルへの応用も目指す。
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Causes of Carryover |
当初は第3世代シークエンサを用いたロングリードシークエンスを1年目にも行う予定であったが、使用する細胞の準備やシークエンスの条件検討に時間がかかったため次年度にまとめて行うことにした。従って、次年度はシークエンス費用などが当初の予定より多く必要になるため繰り越した金額は使い切ることができると考えている。
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Research Products
(3 results)