2022 Fiscal Year Research-status Report
エボラウイルス分泌型糖タンパク質sGPの病原性発現分子機構の解明
Project/Area Number |
22K15473
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
古山 若呼 長崎大学, 高度感染症研究センター, 助教 (60908903)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エボラウイルス / sGP |
Outline of Annual Research Achievements |
エボラウイルスは、ヒトを含む霊長類に高い致死率を伴う重篤なエボラウイルス病を引き起こすが、現時点における有効な予防、治療法は限定的である。さらに、エボラウイルスはその病原性の高さから高度安全実験施設(BSL-4)での取り扱いが義務付けられているため、野生型エボラウイルスを用いた研究は極めて制限されており、その病原性発現因子に関する知見についても限られている。 エボラウイルスが保持するネガティブ1本鎖RNAゲノムには、7種のウイルス構造タンパク質がコードされている。エボラウイルスがコードする糖タンパク質(GP)遺伝子には7つのアデニン(7A)から成るEditing siteが存在する。このサイトにアデニン(A)の挿入が生じフレームシフトが起こることによって分泌型糖タンパク質(sGP: 7A)と表面糖タンパク質(GP: 8A)が産生する。エボラウイルスGPはエボラウイルス粒子上に発現する唯一のタンパク質であり、ウイルスの細胞侵入において重要な役割を担うことから、研究が進められている。一方、全ての糖タンパク質遺伝子に由来する遺伝子産物の中で7割以上の発現を呈するsGPの機能については未知である。 本研究では、エボラウイルスが分泌する糖タンパク質sGPの病原性発現機構ならびに分泌機構の解明を目的として以下の検討を行った。第一に、sGPの細胞内可視化システムの構築を行った。次に各種細胞小器官マーカーを指標として、sGPの細胞内動態を、共焦点顕微鏡下で免疫染色法により経時的に観察した。また、米国BSL-4施設において、エボラウイルスの標的細胞種の1つである樹状細胞(ヒト由来)に野生型エボラウイルスを感染し、培養上清中に分泌されるsGPの濃度をELISA法にて測定した。さらに、Tag付加sGPを哺乳類細胞に発現し、共沈物について質量分析解析を行った結果、複数の宿主因子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者はエボラウイルスが分泌する糖タンパク質sGPの病原性発現機構ならびに分泌機構の解明を目的として、研究に熱心に取り組み、研究計画調書に記載した研究計画を着実に遂行し成果を出している。今年度は、sGP可視化システムの構築と細胞内動態の観察を行い、さらにBSL-4施設にて野生型ウイルスを用いた検証も行うなど、当初の研究計画よりも発展した研究を行っているため、区分は(1)当初の計画以上に進展している。とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定された複数の宿主因子について詳細な解析を行う予定である。また、これらの因子とsGPの細胞内局在について共焦点レーザー顕微鏡等を用いて解析することで、分泌経路の解明に取り組む予定である。さらに、複数の異なった性状の樹状細胞を用いて、sGPが宿主免疫応答に対する影響に関しても観察予定である。
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Research Products
(1 results)