2023 Fiscal Year Research-status Report
エボラウイルス分泌型糖タンパク質sGPの病原性発現分子機構の解明
Project/Area Number |
22K15473
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
古山 若呼 長崎大学, 高度感染症研究センター, 助教 (60908903)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エボラウイルス / 分泌型糖タンパク質 / sGP |
Outline of Annual Research Achievements |
エボラウイルス(EBOV)はヒトを含む霊長類に高い致死率を伴う重篤なエボラウイルス病(EVD)を引き起こすが、現時点における有効な予防、治療法は限定的である。エボラウイルス粒子には、表面糖タンパク質(GP)が唯一存在する。GP遺伝子から少なくとも3種類のタンパク質が翻訳され、中でも分泌型糖タンパク質sGPは、GP遺伝子産物中7割以上の発現を呈する。先行研究によって、sGPは、致死的個体において血中に高濃度検出されること、また、エボラウイルスの主要標的臓器である肝臓や腎臓においてウイルスの感染増強を引き起こすことが判明しており、病原性との関連が示唆されている。しかしながら、sGPの病原性発現機構については不明な点が多い。そこで本研究では、sGPの分泌経路ならびに関連する宿主因子の解明を目的とした。 本研究では、EBOVの初期標的細胞である樹状細胞、ならびに主要標的臓器である腎臓由来の細胞を用いて検証を行った。まず、これら細胞にsGP発現プラスミドを形質導入し、各種細胞内小器官マーカーを指標に免疫蛍光染色法によりsGPの局在を共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析した。さらに、主要な膜輸送遺伝子を標的としたレンチウイルスCRISPR/Cas9ライブラリーを用いて、141のノックアウト細胞株を作製した。各ノックアウト細胞株にsGP発現プラスミドを形質導入し、放出されたsGPの量をサンドイッチELISAを用いて定量し、sGPと相互作用する宿主因子候補を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者はエボラウイルスが分泌する糖タンパク質sGPの病原性発現機構ならびに分泌機構の解明を目的として、研究に熱心に取り組み、研究計画調書に記載した研究計画を着実に遂行し成果を出している。今年度は、これまで使用したことがなかった樹状細胞を用いて検証を行い、腎臓由来細胞株との比較を行った。さらに、sGPと相互作用する宿主因子同定のため、CRISPR Cas9スクリーニングシステムを用いて検証を行うなど、当初の研究計画よりも発展した研究を行っているため、区分は(1)当初の計画以上に進展している。とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定された複数の宿主因子について詳細な解析を行い、得られた結果を米国ロッキーマウンテン研究所のBSL-4施設にて、野生型EBOVを用いて検証を行う予定である。
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