2023 Fiscal Year Research-status Report
蚊組織におけるフラビウイルスの糖鎖修飾部位に対する選択メカニズムの解明
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22K15477
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
内田 玲麻 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (50756723)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 蚊媒介性フラビウイルス / エンベロープ / 糖鎖修飾 / Quasispecies / 選択 / 蚊由来株化細胞 / 不死化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は蚊体内で遺伝子学的に多様な状態(Quasispecies)で存在するフラビウイルスが、エンベロープの糖鎖修飾部位について、どのようなメカニズムで特定の遺伝子型が選択されていくか明らかにすることである。そのため、2023年度は1.ジカウイルスのVirus-like particles(VLPs)および感染性クローンの確立と2. cMYC遺伝子を用いたヤマトヤブカ初代培養細胞の不死化を進めた。 1. ジカウイルスのVirus-like particles(VLPs)および感染性クローンの確立 2022年度まで、糖鎖修飾部位に変異やFLAGタグを加えたジカウイルスのVirus-like particles(VLPs)を発現するプラスミドを用い、哺乳類細胞でVLPsの作成を試みたが、上手くいっていなかった。2023年度はトランスフェクション試薬やウエスタンブロッティングの条件を見直し、糖鎖修飾型および非糖鎖修飾型のジカウイルスVLPsを哺乳類細胞で発現させることに成功した。また、プロモーター、pA配列等を昆虫細胞発現用に変えたプラスミドを構築し、現在、蚊由来細胞でVLPsの作成を試みている。 2. cMYC遺伝子を用いたヤマトヤブカ初代培養細胞の不死化 2022年度に作成した昆虫細胞用cMYC発現プラスミドを用い、北海道江別市近郊で捕獲したヤマトヤブカから分離した細胞に対し、不死化を試みた。しかし、細胞培養の過程で多くの細菌、真菌汚染が確認され、最終的に株化細胞を得るに至らなかった。また2022年度までの結果ではCMVプロモーター下での目的遺伝子の発現が極めて低かったことから、これまでの方針を変更し、現在はヒトの癌抑制遺伝子(p53)の相同遺伝子(p53-1および2)をノックダウン、ノックアウトする方向で進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度末時点では1. 感染性クローンが確立され、2. 蚊由来初代培養細胞の不死化についてある程度の目途が立てられている状況であったが、残念ながらいずれの結果も得られていない。要因として昆虫由来細胞に対する遺伝子導入手法およびウエスタンブロッティングの条件検討に予想以上に多くの時間を費やしたことが挙げられる。現在、後者については安定した手法を得られたため、これまでの遅れを挽回できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標は蚊体内でフラビウイルスが、エンベロープの糖鎖修飾部位について、どのようなメカニズムで特定の遺伝子型が選択されていくか明らかにすることであり、そのために2024年度は1. 感染性クローンの構築と2. p53-1、2遺伝子ノックダウン、ノックアウトによる蚊初代培養細胞の株化を試みる。1については2023年度に作成したCPER用の全長cDNAを用い、糖鎖修飾型および非修飾型のジカウイルス感染性クローンを作製する。また、2については、現在、ヒトスジシマカ由来C6/36細胞のp53-1、2遺伝子配列を明らかにしている段階であり、RACE PCRにより明らかにしたmRNAに対し、CRISPR-Cas9によるp53-1、2遺伝子ノックアウトの系を作成する。
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Causes of Carryover |
一部の試薬等は既に研究室にあったものを使用したため、予定されていた予算全額は使用せず次年度使用額が生じた。繰り越した予算は今年度予算と併せ、主に物品費に使用する。
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