2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規治療法を目指したSARS-CoV-2感染病態における制御性T細胞の寄与の解明
Project/Area Number |
22K15482
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
浦木 隆太 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, ウイルス感染動態研究部 上級研究員 (70843027)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SARS-CoV-2 / 制御性T細胞 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、病原体感染、癌、アレルギー、移植片拒絶、梗塞に伴う炎症など様々な疾患に関与することが報告されている制御性T細胞に焦点を当て、ウイルス学・免疫学的視点から制御性T細胞のSARS-CoV-2感染後の病態発現・予後への寄与の解明を目指し、制御性T細胞を標的とした治療法の開発の糸口を模索する。 当該年度は、一過性に制御性T細胞を除去したマウスに、さまざまな量のマウス馴化SARS -CoV-2を感染させ、その後の病態(体重変化、生存率や呼吸器におけるウイルス量)について検証を行った。その結果、非致死量のマウス馴化SARS-CoV-2を感染させたところ、コントロールマウスと比べ、Foxp3-DTRマウスでは著しい体重減少並びに生存率の低下が観察された。この条件で、感染後のマウス呼吸器におけるウイルス量を測定したところ、両群間で感染2日後、5日後で共にウイルス量に大きな違いは認められなかった。このことから、マウスにおける病態の違いはウイルス量ではなく、ウイルス感染によって引き起こされる宿主応答の違いに起因していることが示唆された。そこで、さらに感染2日後並びに5日後の肺における免疫細胞の割合について検証を行ったところ、一部の免疫細胞の割合に違いがあることがわかった。これらの結果から、制御性T細胞はSARS-CoV-2感染後の病態悪化の抑制に寄与していることが示唆された。どのような作用機序で制御性T細胞が病態悪化の抑制関与しているかについては今後の課題である。
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