2023 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンCより発現誘導されるガレクチン3のメモリーT細胞の分化制御機構の解明
Project/Area Number |
22K15488
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
近藤 健太 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (60779974)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | CD8+ T細胞 / ビタミンC / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
CD8+ T細胞の免疫応答には適切なゲノム領域が脱メチル化されることが必要であるが、どのような因子により調整されているのかは不明である。近年、ビタミンCがDNA脱メチル化酵素 (TET)を活性することでDNA脱メチル化を促進することが発見されたが、CD8+ T細胞の免疫応答に及ぼす影響は明らかではない。 我々は、ビタミンC存在下でCD8+ T細胞を培養することで、ビタミンCのDNA脱メチル化促進作用がCD8+ T細胞に及ぼす影響を評価した。その結果、ビタミンC存在下で培養したCD8+ T細胞は、リステリア菌や腫瘍細胞に対する免疫応答が亢進することを見出した。ビタミンCがCD8+ T細胞の免疫応答を亢進させる機構を明らかにするために、ビタミンC処理により発現するガレクチン3をノックダウンしたが、ビタミンCの効果を抑制できなった。そのため、ビタミンC処理CD8+ T細胞の免疫応答を亢進させる原因遺伝子をスクリーニングした結果、転写因子Batf3を同定した。Batf3をノックダウンするとビタミンCの効果が抑制され、Batf3をCD8+ T細胞に過剰発現させるとビタミンC処理を行なった場合と同様に免疫応答が亢進した。 本研究により、ビタミンCはBatf3の発現増加を介してCD8+ T細胞の免疫応答を亢進させることを明らかにすることが出来た。本研究成果は、CD8+ T細胞の免疫応答やビタミンCの生理学的役割の理解と同時に、ビタミンCを利用した免疫療法の開発に繋がることが期待される。
|