2022 Fiscal Year Research-status Report
CD47-SIRPα系による樹状細胞の生存制御の分子基盤
Project/Area Number |
22K15494
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小森 里美 神戸大学, 医学研究科, 学術研究員 (20939152)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / SIRPα / CD47 / EAE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞間シグナル伝達系であるCD47-SIRPα系を介した2型古典的樹状細胞(cDC2)の生存維持の分子機構の解明を進め、本年度は以下の研究結果を得た。 [I] 過去に樹状細胞の生存に関与していることが示唆されている遺伝子MがSIRPαを介したcDC2の生存維持に関与しているのかを明らかにするために、本年度ではSIRPα/遺伝子MダブルKOマウスを作製して解析を行った。その結果、SIRPα欠損マウスで見られていた脾臓cDC2の減少はSIRPα/遺伝子MダブルKOマウスで改善されていることが明らかとなった。また、SIRPαを介したcDC2の生存制御において、細胞の生存制御に重要なシグナル経路であるNF-κB経路が関与するのかを明らかにするため、NF-κB阻害剤をSIRPα欠損マウスに投与して解析を行った。その結果、阻害剤投与群では非投与群と比較して脾臓cDC2の細胞数の回復が認められた。以上のことから、cDC2上のSIRPαは遺伝子M並びにNF-κB経路を介してcDC2の生存を制御していることが示唆された。 [II] 同一細胞上のCD47-SIRPα結合(シス結合)を介したcDC2の生存制御の分子機序について明らかにするために、野生型マウスから脾臓cDC2を単離して近接ライゲーションアッセイを行った。その結果、生体内cDC2においてCD47-SIRPαシス結合が起きていることを明らかにした。 [III] SIRPα/遺伝子MダブルKOマウスにおいて実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を行った結果、SIRPα単独欠損マウスではEAEの発症が抑えられていたのに対してダブルKOマウスでは発症が認められたことから、CD47-SIRPα系と遺伝子Mを介して生存が制御されるcDC2はEAEの発症に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題申請時に予想していた研究計画に沿って順調に進めることができており、論文化に向けて準備することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
CD47-SIRPα系を介したcDC2生存維持の分子機序を引き続き解明するため、次年度は以下の点を明らかにすることを目標としている。 [I] SIRPαを介したcDC2の生存維持における遺伝子MとNF-κBシグナルの関連性:遺伝子MとNF-κBシグナル経路との関連が過去に論文で指摘されている。そこで、SIRPα/遺伝子MダブルKOマウスに対するNF-κBシグナル阻害剤の投与やインビトロでの骨髄由来DCを用いた解析を行うことによって、cDC2の生存維持におけるSIRPαと遺伝子M、NF-κBシグナル経路の関連性について明らかにする。 [II] cDC2の生存維持におけるCD47の役割の解明: CD47とSIRPαのシス結合がcDC2の生存を制御しているのかを明らかにするために、CD47を欠損したcDC2においても同じく遺伝子Mを介して生存が制御されているのかを評価する。 [III] 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)発症におけるSIRPαと遺伝子Mの関連性: SIRPα欠損によるEAE発症の抑制に遺伝子Mがどのように関与しているのかを明らかにするために、次年度ではEAEを行ったSIRPα/遺伝子MダブルKOマウスのリンパ節内でのDCの細胞数や活性化の程度、Th17細胞の脳脊髄内への浸潤等について評価を行う。
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Research Products
(4 results)