2022 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境におけるDKK1/3-CKAP4シグナルの機能解明と新規治療法の開発
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22K15511
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐田 遼太 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60869783)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DKK1 / CKAP4 / 膵がん / 肝がん / 腫瘍免疫 / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
私共はWntシグナル制御因子である分泌蛋白DKK1の新規細胞膜受容体CKAP4を同定し、種々のがんにおいてDKK1-CKAP4シグナルによる細胞増殖機構を明らかにしてきた。難治性がんにおけるDKK1-CKAP4シグナルとがん微小環境との関連については世界中で解析が進んでいないが、近年、様々ながんの微小環境においてDKK1が免疫調節活性を示すことが報告されている。私は本研究において、DKK1-CKAP4シグナルと腫瘍免疫の関連に特に着目して解析を行っている。令和4年度はhydrodynamic tail vein injection(HTVi)法を用いてDKK1および活性型CTNNB1、MET遺伝子を正常免疫マウス肝臓に発現させ、多発肝がんを作製するモデルを確立した。核出した腫瘍を解析し、DKK1タンパクの発現と、マウス血液中への分泌を確認した。しかし対照腫瘍と比較してDKK1発現腫瘍で肝腫瘍のサイズや個数に有意な差を認めず、免疫組織染色による評価では腫瘍微小環境に浸潤するCD4/8陽性T細胞の数に有意な変化を認めなかった。そこで、複数のがんドライバー遺伝子の組み合わせ、及びネオアンチゲン遺伝子を同様にHTVi法で肝臓に導入するモデルを作製した。同モデルにおいて得られた多発肝がんは、導入した遺伝子をそれぞれ異なる割合で発現し、多彩な組織像を示すことを確認した。現在、同モデルにおいてDKK1-CKAP4シグナル依存性の表現型を解析中である。また私は令和4年度にドキシサイクリン誘導性にDKK1およびネオアンチゲンを発現するマウス膵がんオルガノイドを正常免疫マウスの同所に移植するマウス膵がんモデルを作製した。ネオアンチゲン発現によって抗腫瘍免疫応答を誘導することに成功しており、現在、DKK1発現単独による表現型を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では2年間の研究期間で、①正常免疫マウスを用いたDKK1高発現マウスがんモデルの作製②DKK1-CKAP4シグナルの腫瘍微小環境制御における機能解析③抗体を用いたDKK1-CKAP4シグナル阻害による腫瘍微小環境制御および抗腫瘍効果の確認 を進めることを目的としている。現在までに①hydrodynamic tail vein injection(HTVi)法を用いてDKK1と様々なドライバー遺伝子を正常免疫マウス肝臓に遺伝子導入し、多発肝がんを誘導すること②テトラサイクリン誘導性にDKK1を発現するマウス膵がん由来オルガノイドを膵同所に移植するマウス膵がんモデルの作製に成功している。また同モデルにおいてネオアンチゲンを共発現させることで腫瘍抑制的な微小環境を誘導することに成功し、組織免疫染色を用いた抗腫瘍免疫応答の定量的解析系の立ち上げも終了している
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Strategy for Future Research Activity |
近年、DKK1が腫瘍微小環境における抗腫瘍免疫応答を制御することが報告されているが、そのメカニズムは原発臓器および腫瘍の遺伝子発現のコンテキストによって多彩であることが推測されており、また腫瘍局所におけるDKK1の発現メカニズムと発現細胞は不明である。本研究では、既に正常免疫マウスの肝臓・膵臓において任意のがんドライバー遺伝子およびネオアンチゲンとの組み合わせでDKK1およびCKAP4を発現するがんモデルの確立に成功している。今後は、実際のヒト腫瘍と同様に、DKK1-CKAP4シグナルが腫瘍増殖促進効果および腫瘍免疫制御に寄与する特定のがん種およびドライバー遺伝子の組み合わせを絞り込み、同モデルにおいて、DKK1-CKAP4シグナルの作用メカニズムを解析していく予定である。 同時に、私共の開発した抗CKAP4抗体を用いた治療実験を、既存薬との併用モデルを含めて行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度は実験計画に従って、実験系の立ち上げが終了したが、RNAシークエンスや次世代シーケンサーを用いたゲノムDNAシークエンスといったデータ取得・データ解析にかかる費用、および治療モデル実験用の実験動物および抗体製薬購入の予算が未執行であり、次年度使用額が生じている。 当初実験計画通り、令和5年度に、上記実験を行っていく予定である。
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Research Products
(6 results)