2022 Fiscal Year Research-status Report
「がん代謝」を標的とする薬剤と抗がん剤を併用した、神経芽腫の新規治療法の創出
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22K15521
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 健太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20645006)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / がん代謝 / 動物実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、神経芽腫において治療標的となる遺伝子変異が少なく、化学療法および標的治療による治療成績の向上が見込みづらいことに対して、がん代謝の性質を利用した薬剤を抗がん剤と併用投与することによる新規治療戦略を探索することを主な目的としている。我々の先行研究にて、がん代謝を標的とする薬剤が与える影響はin vitroとin vivoにおいて異なることがわかっているため、in vivoでがん代謝を標的とする薬剤ががん細胞に与える影響を解析することで、抗がん剤に対する耐性の変動がみられるかどうかの解析を行った。免疫抑制マウスに腫瘍細胞株の皮下注射を行い作成した腫瘍モデルマウスを用いて、がん代謝を標的とした薬剤の投与を行い、腫瘍の壊死が起こる前に摘出を行い、コントロールの腫瘍との比較を行った。適切な投与日数および観察期間を探索する予備実験の後に本実験を行い、摘出した腫瘍から抽出したRNAをもとに発現解析を実施した。このように得られたデータから各種発現経路セットに対する解析が可能であるが、特に抗がん剤に対する反応や関連する細胞活動に着目した経路解析を行った。結果として、一部の抗がん剤に対する反応性に関連する遺伝子セットの発現に変動がみられており、該当する薬剤が併用薬剤の候補として挙げられた。また、細胞傷害に対応した代償作用としてと推定される遺伝子セットの増強が一部みられており、これらに対するさらなる干渉も併用治療の候補と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腫瘍を摘出するタイミングにより薬剤の影響に幅が生じてしまうため、摘出する際の腫瘍の状態を揃える必要があるが、実際に適切なタイミングで揃えることのできた腫瘍の数が限られていたため、精度の高いデータを収集するのに想定よりも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoでの実験と並行して、in vitroでの候補薬の選定をすすめることで、効率よく薬剤の選定を図る。これらの仮定で選定した候補となる組み合わせのin vivoでの効果および安全性を検証し、新たな治療戦略の開発を進行する。
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[Journal Article] Identification of the ultrahigh-risk subgroup in neuroblastoma cases through DNA methylation analysis and its treatment exploiting cancer metabolism2022
Author(s)
Watanabe K, Kimura S, Seki M, Isobe T, Kubota Y, Sekiguchi M, Sato-Otsubo A, Hiwatari M, Kato M, Oka A, Koh K, Sato Y, Tanaka H, Miyano S, Kawai T, Hata K, Ueno H, Nannya Y, Suzuki H, Yoshida K, Fujii Y, Nagae G, Aburatani H, Ogawa S, Takita J.
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Journal Title
Oncogene
Volume: 41
Pages: 4994~5007
DOI
Peer Reviewed / Open Access