2023 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア置換技術を用いた、がん細胞におけるmtDNAの影響の解明
Project/Area Number |
22K15526
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 武志 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (90745100)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒト細胞のがん化におけるミトコンドリアゲノム(mtDNA)の影響を、 正常細胞から取得したmtDNAを直接置換することで検証する事である。本研究では、本研究グループが独自開発、特許取得した高効率にmtDNAを置換可能なMitochondrial DNA Replaced Cell(MirC)作製技術を用いた。MirC作製技術をがん細胞及び正常細胞に適応し、各々の細胞のmtDNAを置換し作製したMirCを通して、細胞の表現系が受ける影響を検討した。まず、現行のMirC作製ではelectroporationによる遺伝子導入法を用いているが、細胞へ与える影響の軽減化ならびに導入効率の向上を目指してliposome transfectionによる遺伝子導入法の検討を行い、同手法によるMirC作製プロトコールを確立した。同手法により各種がん細胞と正常細胞とのMirCを作製し、細胞増殖能について比較検討した結果、あるがん細胞株高転移モデルから分離したmtDNAを元細胞株に置換したものが増殖能が高まる事を見出した。双方のmtDNAの全ゲノム解析を行い比較した結果、明らかな差異を認めず、増殖能に影響を与える因子はmtDNA変異に由来するものではないと考えられた。今後の展開として、mtDNA置換により細胞増殖能に影響を与えた因子を様々な観点から検討し、因子を特定できた場合に治療標的となり得るかについて検証を進めたいと考えている。
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