2023 Fiscal Year Annual Research Report
ニッチミミクリーを用いたグリオーマの術後遺残癌幹細胞に対する標的探索研究
Project/Area Number |
22K15537
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
室田 吉貴 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (40909602)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グリオーマ / 再発 / 遺残癌幹細胞 / ニッチミミクリー |
Outline of Annual Research Achievements |
浸潤性の増殖を示す悪性グリオーマにおいて、術後に遺残する腫瘍細胞は再発の原因であると考えられるため、それら遺残細胞を克服する臨床的意義は高い。本研究は、遺残癌幹細胞はどのような特性を有しているのか?またそれらの特性をどのように制御すれば再発を未然に防ぐことができるか?を再発微小環境を模倣する合成ポリマー「ニッチミミクリー」を同定して明らかにすることを目的として、本年度は以下の進捗を得た。 (1)前年度に立ち上げたスクリーニング系を用いてニッチミミクリーとして機能するマテリアルの同定を試みた。合計180種類のポリマーの重合条件を検討し、もとにポリマーを合成し、ガラススライド上にmicroarray用ピンを用いて各種ポリマーをスポットしたポリマーmicroarrayスライドを作製した。本スライド上で細胞を培養することで、細胞が高い接着性を示す36種類のポリマーの同定に至った。 (2)前年度に同定した高浸潤性かつ5-ALAによる検出を免れる細胞画分に特異的に発現する遺伝子Xについて、グリオーマ患者由来細胞株でノックダウンした細胞株の樹立をレンチウイルスベースのshRNAベクターを用いて試みた。今後は免疫不全マウス脳内にノックダウン細胞を移植した動物モデルを作製し、PpIX陽性率、腫瘍サイズ、および生存率に対する影響を検証する。現在までにPpIX低蓄積性の遺残癌幹細胞(再発源)を標的とした研究は少なく、遺伝子Xのグリオーマの治療標的としての報告もないことから、標的POC (proof-of-concept)を取得することが重要と考えられた。 年度内に実現はできなかったが、今後上記(1)で遺伝子Xの発現に影響を与える機能性ポリマーを同定することで、未だ明らかにされていない癌の再発機構やその制御機構を明らかに出来ると考えられる。
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