2022 Fiscal Year Research-status Report
膵腺房導管異形成が誘発する膵癌遠隔転移のメカニズム解明
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22K15540
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤穂 宗一郎 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00882854)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵癌 / 膵腺房導管異形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の実績として①exVivo 膵腺管導管異形成モデルの確立②膵腺管導管異形成のタンパク発現評価③膵腺管導管異形成が癌細胞に及ぼす影響評価を行った。 それぞれの概要は①野生型C57BL/6Jマウスより膵腺房細胞を単離しTGFaを添加し4日間培養することで膵腺房導管異形成を誘発することが形態変化として確認した。さらに、RNA発現(RT-PCR)・タンパク発現(Western blotting、免疫蛍光染色)により形質変化を確認した。また。さらに、複数回の実験を行うことで手技として安定的に膵腺房導管異形成を起こすことが可能となった。②膵腺管導管異形成が産生している物質をサイトカインアッセイにより解析した。膵腺房導管異形成を起こした細胞とその培養上清からタンパクを抽出しサイトカインアッセイを行った。その結果、膵癌の浸潤や遠隔転移に寄与している報告があるOsteopontinやGalectin-1等のサイトカインが膵腺管導管異形成が起こることで著明に増加していることが明らかとなった。③膵腺房細胞を単離・培養し膵腺管導管異形成を起こし、その培養上清をマウス膵癌細胞株(PanO2)に添加し、膵癌細胞への影響を評価した。結果として、癌細胞の形態が変化することを確認した。さらに、細胞から抽出したタンパクからはAktのリン酸化が著明に増加していることが明らかとなった。 以上より、膵腺房導管異形成が膵癌の進展や転移に寄与している可能性が示唆される結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は小目的①~③の課題で構成されている。 今年度の研究では小目的①を完了し小目的②を行っており、現段階でのVitroデータは想定した結果となり、今後の方針に大きな逸脱なく遂行が可能なため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実験計画通りに実験を行う予定である。 2023年度は引き続き小目的②を進める。膵腺房導管異形成が膵癌細胞に及ぼす影響を次世代シーケンサーによる遺伝子発現解析により評価するとともに、Migration assay・Invasion assayにより実際に癌細胞の遊走能や増殖能の変化を評価する。 また、上記結果を元にVivo実験である小目的③を行う。
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Causes of Carryover |
小目的②において次世代シーケンサーによる解析に費用が必要である。当初この解析は2022年度と2023年度のどちらかに行う予定であった。実際にこの解析は現在準備中であり、次年度(2023年度)に行う予定となったため次年度使用額が生じた。
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