2022 Fiscal Year Research-status Report
がん幹細胞に着目した皮膚希少がんの解析と新規治療法の開発
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22K15543
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 孝通 九州大学, 大学病院, 講師 (40632964)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 皮膚がん / 希少がん / 抗体薬物複合体 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性黒色腫の中で日本人の約半数を占める肢端型は他の病型の悪性黒色腫とくらべて紫外線による遺伝子変異が少ないため、切除不能悪性黒色腫治療の主力である免疫チェックポイント阻害剤の奏効率が低いことが判明している。さらに肢端型ではBRAF遺伝子変異がないことが多く、BRAF/MEK阻害剤の適用となる患者が少ない。したがって、肢端型悪性黒色腫に対する新たな治療選択肢が喫緊の課題となっている。本研究ではHER3分子を標的とした肢端型悪性黒色腫治療の可能性を追求した。その結果、1,HER3は一定数の肢端型悪性黒色腫に発現しており、HER3高発現群では無病生存期間が有意に短縮しており、2,肢端型悪性黒色腫細胞株を使った実験ではHER3ノックダウンにより足場依存的増殖能に有意な変化はなかったものの、足場非依存的増殖能は有意に低下、3,この足場非依存的増殖はNRG1/HER3/YAP軸に制御されること、4、肢端型悪性黒色腫細胞株はHER3標的抗体薬物複合体の抗がん剤成分であるderuxtecanに高感受性であること、5,NRG1/YAP経路の活性化によっても抗がん剤感受性は低下しなかったこと、などを解明した。これらの結果は肢端型悪性黒色腫に対して、HER3標的抗体薬物複合体が新たな治療選択肢となる可能性を示唆するとともに、HER3分子そのものも治療標的となり得る可能性を示唆している。 これらの結果をまとめて、Cell Death Discovery誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
肢端型悪性黒色腫に対するHER3標的治療の可能性について論文報告を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
標準治療が確立していない皮膚がんは多岐にわたるため、それぞれのがん腫に対する新規治療法を模索していく。特に現在は乳房外パジェット病に注目して研究を行っている。
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Research Products
(2 results)