2023 Fiscal Year Research-status Report
がん幹細胞に着目した皮膚希少がんの解析と新規治療法の開発
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22K15543
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 孝通 九州大学, 大学病院, 講師 (40632964)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | antibody drug conjugate |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では皮膚希少がんに対する新規治療の開発を主目的としている。皮膚希少がんの研究において一つの大きな障害は適切な疾患モデルが確立されていないことである。我々は本研究課題において、世界初の乳房外パジェット病細胞株を樹立し論文報告を行った。さらに皮膚有棘細胞がんの細胞株2種を新規に樹立し、論文投稿中である。爪原発のメラノーマはその他の部位に生じたものとは遺伝子的にも異なることがわかっているが、その細胞株はいまだ樹立されていない。爪メラノーマに対しても患者検体から採取し、現在樹立を目標として培養を継続中である。 皮膚希少がんの候補薬剤として、抗体薬物複合体に着目して研究を進めている。固形がんに対する抗体薬物複合体でFDAに承認されているものは、HER2、HER3、NECTIN4、TROP2などを標的とするが、これらの薬剤と皮膚希少がんの関連はほどんどわかっていなかった。我々はこれらの標的分子が皮膚希少がんに広く発現し、これら分子の直接阻害や抗体薬物複合体が疾患モデルにおいて有効に作用することを始めて報告した。具体的には、NECTIN4標的治療(乳房外パジェット病、有棘細胞がん、脂腺癌、汗腺系皮膚悪性腫瘍、メラノーマ、血管肉腫)、TROP2標的治療(乳房外パジェット病、脂腺癌、汗腺系皮膚悪性腫瘍)、HER3標的治療(肢端型メラノーマ)であり、これらはすべて英文論文として報告しており、国際学会・国内学会で精力的に発表を行っている。 皮膚希少がんにおいては、単施設で収集できる組織標本数には限界がある。そのため、乳房外パジェット病の原発巣・転移巣におけるTROP2の発現の比較解析を行うため、あらたに多施設共同研究(倫理審査委員会承認済み、全10施設)を立ち上げた。現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題と関連して、2022年4月以降に、英文原著5報、英文総説3報を報告し、4つの国際学会と5つの国内学会で発表を行った。 現在も投稿中の英文論文が2報あり、今年度も国内外の学会での結果報告を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在特に進捗に問題がない。引き続き研究を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度は論文執筆、論文報告、学会報告に注力し、昨年度購入分の物品で基礎実験を賄えたため、物品日での支出がなく主に旅費。英文校正費、論文掲載費での支出となった。なお、今年度は4年に一度の国際学会(International Societies for Investigative Dermatology Meeting)や5年に一度の国際学会(World Congress of Dermatology)等が重なり、学会報告も多かったため、旅費の支出が多くなっている。 来年度は例年通り物品費での支出が主となる見込みである。
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