2023 Fiscal Year Annual Research Report
MYCとPGC1αが制御する癌代謝と腫瘍免疫を標的とした新規肝細胞癌治療法の開発
Project/Area Number |
22K15545
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北野 雄希 熊本大学, 病院, 特任助教 (40814760)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 癌代謝 / 腫瘍免疫 / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肝細胞癌においてMYC, PGC1αらに制御される“がん代謝”が“腫瘍免疫”に与える影響と、癌の進展に関与するメカニズム解明を目的とした。 1, 肝細胞癌におけるMYCとPGC1αが予後に与える影響:TCGAのパブリックデータベースによる解析にて、肝細胞癌においてMYC高発現群は低発現群に比べて(HR=1.75, P=0.008)、PGC1α低発現群は高発現群に比べて(HR=2.33, P<0.0001 )予後不良となる事を示した。さらにMYCとPGC1αをはじめとしたがん代謝関連遺伝子の発現レベルを組みわせたsignatureを作成したところ、低分化型肝細胞癌では解糖系が亢進していることが分かった。 2, 臨床サンプルを用いた腫瘍免疫細胞の発現評価と予後との検討:225例の肝細胞癌初回肝切除症例の切除標本を用いて、腫瘍内と腫瘍辺縁におけるCD8+T細胞、制御性T細胞(Treg)、腫瘍浸潤マクロファージ(TAM)、腫瘍浸潤好中球(TAN)の発現を免疫染色にて確認した。特に腫瘍辺縁において、CD8+T細胞低発現群は高発現群に比べ、TAM低発現群とTAN低発現群はそれぞれ低発現群に比べて有意に予後不良であった。4つの免疫細胞にて腫瘍内の免疫環境を示すrisk signatureを作成したところ、抗腫瘍免疫環境の悪い群(High-risk signature)は良い群に比べて有意に予後不良であることが分かった(P=0.02)。 現在、MYC, PGC1αらが制御するがん代謝と腫瘍免疫との関係について基礎研究を進めている。
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