2023 Fiscal Year Annual Research Report
テロメラーゼ逆転写酵素による遺伝子発現制御が標的とする新規遺伝子の同定
Project/Area Number |
22K15550
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
町谷 充洋 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (90759523)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テロメラーゼ / テロメラーゼ逆転写酵素hTERT / RNA依存性RNAポリメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、アンチセンスRNAのような、遺伝子をコードしないnon-coding RNA (ncRNA) が発がんに影響することが明らかにされてきた。一方で、研究が進んでいるのは特定のncRNAに限定されており、ほとんどのncRNAの発現機構や生理学的意義は未解明である。申請者のグループは、テロメラーゼ逆転写酵素hTERTが、RNA依存性RNAポリメラーゼ (RdRP) 活性を示し、そのRdRP活性によるアンチセンスRNAの合成が腫瘍形成を促進することを明らかにした。本研究では、がん細胞においてhTERTに結合するRNAを網羅的に解析することで、hTERTのRdRP活性により合成されるRNAを同定し、RdRP活性による遺伝子発現制御が、発がん過程に与える影響の分子基盤の解明を目指す。まず、抗hTERT抗体を用いて、hTERT結合RNAの網羅的解析を実施するために、抗hTERT抗体を用いた免疫沈降条件を検討した。得られた条件で回収したhTERTに結合しているRNAを精製し、次世代シークエンサーで解析したところ、テロメアリピート配列(UUAGGG)を有するncRNAであるTERRA RNAと結合していることが明らかになった。近年、TERRA RNAは、それと相補的なゲノムDNAとハイブリッドし、RNA/DNAハイブリッドから成るR-loop構造を形成していることが報告されている。R-loop構造はDNA損傷の原因となり、ゲノム不安定性につながることが知られているが、詳細な機能解析の結果、hTERTのRdRP活性は、TERRAが形成するR-loop構造を解消し、ゲノム安定性に寄与することが明らかになった。また、RdRP活性を欠損させた腫瘍の増殖は、顕著に阻害されていた。以上の結果より、hTERTのRdRP活性は、TERRA RNAを標的にすることで、腫瘍形成を促進することが示された。
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[Journal Article] Maintenance of R-loop structures by phosphorylated hTERT preserves genome integrity.2024
Author(s)
Machitani M, Nomura A, Yamashita T, Yasukawa M, Ueki S, Fujita K, Ueno T, Yamashita A, Tanzawa Y, Watanabe M, Taniguchi T, Saitoh N, Kaneko S, Kato Y, Mano H, Masutomi K.
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Journal Title
Nature Cell Biology
Volume: In press.
Pages: -
Peer Reviewed
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[Presentation] Synthetic lethality by inhibition of RNA dependent RNA polymerase activity and the Fanconi anemia/BRCA pathway.2023
Author(s)
Machitani M, Nomura A, Yamashita T, Ueno T, Yamashita A, Taniguchi T, Saitoh N, Kaneko S, Kato Y, Mano H, Masutomi K.
Organizer
第82回日本癌学会学術総会
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