2022 Fiscal Year Research-status Report
がん遺伝子パネル検査を受けた全症例におけるシークエンスエラーの実態を解明する
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22K15571
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Hospital Organization Tokyo Metropolitan Komagome Hospital |
Principal Investigator |
池上 政周 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室), 骨軟部腫瘍科, 医長 (90830521)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん遺伝子パネル検査 / FFPE由来エラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我々が開発したFFPE由来エラー検出アルゴリズムであるMicroSECを利用して、日本で行われたがんゲノム検査におけるFFPE由来のエラーの実情をあきらかにすることを目的としている。その前段階として国立がん研究センターでNCCオンコパネルの開発に際して行われた論文発表(sunami k, et al. Cancer Sci, 2019)の生データを用いて解析を行った。結果として、実際のクリニカルシーケンスの現場でもこれまでの報告(M. Ikegami et al., Commun Biol, 2021)と同様に一定の頻度でFFPE由来のエラーが検出された。また頻度としてはわずかではあるものの、病的変異と解釈されるエラーも患者に報告される可能性があったことから、本研究による実臨床でのがん遺伝子パネル検査の現状評価の意義は大きいものと考えられた。 一方で、当初2022年度内に使用開始になる予定であった、がんゲノム情報管理センター (C-CAT)の情報を生データを含めて使用可能となるシステム「利活用クラウド」の使用開始が遅れており、現在5万症例になるC-CATの症例データの解析は開始できていない。開始時期については国立がん研究センターの担当者と連絡を取り情報収集に務めているが、2023年5月時点で使用開始になっていない。既に構築された解析パイプラインを使用するため、年度内の研究・解析完了には問題ないと考えている。 また大量のデータを用いた解析結果をフィードバックすることでMicroSECのパラメタ調整を行い、より正確性の高いアルゴリズムに更新していくことを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
C-CATに蓄積されているがん遺伝子パネル検査の研究目的の使用は段階的に許可されてきているものの、シーケンスの生データであるBAMファイルの使用が可能となる「利活用クラウド」の使用は厚生労働省との交渉中のため2023年5月時点で開始されていない。利活用クラウドが使用開始になり次第解析は実施可能であるため、研究期間内に当初予定していた解析と論文発表が可能になる見込みであり、そのために準備を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
C-CAT利活用クラウドを用いたFFPE由来のエラーに関する解析を進める。これまでの研究ではがん遺伝子パネル検査の種類による差異については検討できておらず、実用化されているNCCオンコパネルとFoundationOne CDxパネルでのエラー頻度の差異の検討を予定している。また患者に報告される遺伝子変異がエラー除去前後でどのように変化するのかを検討し、我々が開発したFFPE由来のエラーを除去するアルゴリズムであるMicroSECの意義を明らかとする。有用性が明らかであれば、各種検査会社と調整してアルゴリズムががん遺伝子パネル検査に包含される様にすることを目指していく。
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Causes of Carryover |
C-CATの利活用クラウドの使用開始ができるようになるまでは使用物品の購入が不要であったことから、無駄な経費を使用せずに既に所有している物品で研究を遂行したため。
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