2023 Fiscal Year Annual Research Report
がん遺伝子パネル検査を受けた全症例におけるシークエンスエラーの実態を解明する
Project/Area Number |
22K15571
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Hospital Organization Tokyo Metropolitan Komagome Hospital |
Principal Investigator |
池上 政周 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室), 骨軟部腫瘍科, 医長 (90830521)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がんゲノムプロファイリング検査 / FFPEアーチファクト |
Outline of Annual Research Achievements |
CAT利活用クラウド(C-CAT CALICO)の運用開始が遅れており、利用申請手続きを行い承認を待っている状態である。その待機期間中、NCCオンコパネル開発時のシーケンスデータに含まれるFFPEアーチファクトの影響の評価を行い、開発時に使用した東大オンコパネルのみならずNCCオンコパネルにおいても解析パイプラインがコールする変異のうち40%程度がFFPEアーチファクトによるエラーであり、少数ではあるもののpathogenic mutationとannotationされるエラーもあり、FFPEアーチファクト予測アルゴリズムであるMicroSECの改良と実臨床への適用の意義が大きいことを確認した。またAACR project GENIEで報告されている変異におけるFFPEアーチファクトを変異の周辺塩基の情報から予測する機械学習アルゴリズムを開発し、AACRのシンポジウムでの発表を行った。パネル間でアーチファクトの頻度が大きく異なることを確認した。研究期間は終了するものの、すでに研究費で購入した解析機器を用い、予定通り日本国内で行われたがんゲノム検査におけるFFPEアーチファクトの現状を明らかとする研究を継続していく予定である。 また、C-CAT利活用データ自体の解析も平行して進めた。左側切断および右側打ち切りを伴うC-CAT利活用データを用いた生存期間解析はバイアスが大きく既知の手法では実施困難であったが、新たにベイズ推定を用いたバイアス補正手法を開発し、多数のがん種における遺伝子変異や化学療法と生存期間との関係を解析し、2報の論文としてまとめた。遺伝子変異と生存期間の関係性の正確な評価にはFFPEアーチファクトの除去が必須であり、今後は上記の二つの研究を並行して進めていく予定である。
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