2022 Fiscal Year Research-status Report
がん免疫療法治療前後の多領域シーケンス解析による治療効果関連因子の特定
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22K15576
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鎌谷 高志 東京医科歯科大学, M&Dデータ科学センター, 講師 (90645764)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多領域解析 / サブクローン / 尿路上皮がん / 免疫チェックポイント阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、免疫チェックポイント阻害薬(以下ICI)などの新規がん免疫療法が利用されている。しかし、がん免疫療法が有効な患者ははっきりしておらず、世界中の研究者がICIの有効性の予測因子を探索している。また治療当初はICIが有効であっても、治療を継続していくにつれ、効果が低下する獲得耐性が問題となっている。一方で、多くのがん種は従来ヘテロ性が高いと言われており、近年多領域シーケンスを用いることで、腫瘍内には様々なサブクローンが存在することで強いヘテロ性をもつことや、そのヘテロ性が殺細胞性抗がん剤との関連性を示す報告があり、多領域シーケンスと薬物療法の奏効性の関連解析が注目されつつある。しかし、過去にがん免疫療法の治療効果の予測を目的とし、治療前後の多領域シーケンスを行った報告はない。これらの背景に対し本研究では、下記を明らかにすることを目的とした。 1.腫瘍組織はがん免疫療法の治療前後でどのように進化するのか 2.なぜ同一患者内の別臓器で治療効果が異なるのか。また、治療効果が違う転移臓器には、どのような病理学的・遺伝学的な違いがあるのか 3.ICIの獲得耐性はどのように形成され、腫瘍のどのような特徴と関連があるのか 当該年度は、下記の研究成果を得た。具体的には、がん免疫療法に対する治療前後のがんの進化様式の推定に成功し、進化様式に伴うサブクローンの同定をするとともに治療効果と関連するサブクローンを発見した。特に、がん進行に関連するサブクローンを悪性サブクローンと名づけ、空間的トランスクリプトームデータとISH, IHCなどを用いて、その特徴を生物学的観点・免疫学的観点から明らかにした。また、公共データベースを用いて悪性サブクローンが広く示されるべき特徴かを検証したところ、その他のデータにおいても悪性サブクローンの悪性度を示すことに成功した。 現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画書よりやや早く進展している。 現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んでおり、特に課題はないが、研究を進めていくにあたり、免疫チェックポイント阻害薬の効果と関連する別の事象の解明も進めている。
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Causes of Carryover |
計画より早く研究が進んでおり当該年度で一部HDDの購入が必要なくなった。一方で、現在論文投稿中であり、その後の進捗により、データ保存用のSSD, HDDなどの購入が必要になる。また論文投稿が想定より良い論文になる場合、論文投稿費用が想定より高くなる可能性がある。そのために次年度使用額が生じた。
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