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2022 Fiscal Year Research-status Report

リンカー技術と抗体工学を駆使したアスタチン-211の腫瘍特異的送達方法の開発

Research Project

Project/Area Number 22K15594
Research InstitutionNational Cancer Center Japan

Principal Investigator

高島 大輝  国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (10785588)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2024-03-31
Keywords放射免疫療法 / アスタチン-211 / 放射線分解 / 能動的標的化 / リンカー技術 / 抗体工学
Outline of Annual Research Achievements

アスタチン-211標識後、溶液中に生じる活性酸素種によって標識抗体が放射線分解を受けると、特異的結合能が障害され、薬効が減弱することをこれまでに明らかにしてきた。
本研究では、放射線分解が標識抗体の薬物動態に及ぼす影響を検証すべく、放射線分解されたアスタチン-211標識抗体とラジカルスカベンジャーであるアスコルビン酸ナトリウムを添加して、活性酸素種を消去し、保護した標識抗体を、担癌マウスにそれぞれ投与し、腫瘍集積と正常臓器への分布を評価した。その結果、両者の血中滞留性と正常臓器への分布は同等である一方で、放射線分解を受けた標識抗体の腫瘍集積は、保護した標識抗体と比較し、有意に低下することが分かった。放射線分解は、抗原抗体反応を介した能動的標的化を障害する一方で、enhanced permeability and retention effect(EPR効果)を介した受動的標的化には影響しないことを示唆する結果である。また、腫瘍細胞に結合する抗体と結合しないコントロール抗体にアスタチン-211を標識し、アスコルビン酸ナトリウムを添加して放射線分解から保護した上で、担癌マウスに投与し、体内動態を評価した。腫瘍細胞に結合する標識抗体を投与した場合は、腫瘍におけるpercent injected dose/g(%ID/g)は、血液におけるそれを上回ったが、アスタチン-211標識コントロール抗体を投与した場合は、腫瘍の%ID/gは、血液のそれを下回った。アスタチン-211の腫瘍送達においては、能動的標的化が特に重要である。
アスタチン-211の正常臓器への分布をより厳格に低く抑えるべく、複数の標識用試薬を準備し、これらをそれぞれ抗体に付加した複合体を作製の上、アスタチン-211を標識し、担癌マウスにおける体内動態の差異を検証した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

放射線分解がアスタチン-211標識抗体の薬物動態に及ぼす影響を明らかにし、この結果を論文化した。また、放射線分解からアスタチン-211標識抗体を保護し、腫瘍集積性を維持するために必要かつ十分な保存条件を検討し、これを決定した。
アスタチン-211標識に用いる至適なリンカー構造を明らかにすべく、複数のリンカー化合物を準備し、これらを抗体にそれぞれ付加した複合体を作製した。本研究では、これまでに報告のないリンカー化合物も用いているが、既報の標識用試薬と比較して遜色のない比放射能で、アスタチン-211の標識が可能であった。保存溶液中におけるアスタチン-211の抗体からの遊離を評価し、リンカー構造によって遊離の程度が異なることを確認した。また、担癌マウスに対してアスタチン-211標識抗体を投与し、リンカー構造の違いによってもたらされる薬物動態の差異を検証した。
抗体工学の手法を用いて抗体の生体内における腫瘍特異性を向上させることが本研究の目的の一つである。研究計画に準じて、複数の改変抗体を作製した。

Strategy for Future Research Activity

異なるリンカーを介してアスタチン-211を標識した抗体の体内動態に関するデータを蓄積し、リンカー構造がアスタチン-211標識抗体の薬物動態に及ぼす影響を明らかにしていく。
2022年度に作製した複数の改変抗体に対して放射性同位元素を標識し、担癌マウスにおけるこれらの腫瘍集積や臓器分布等の体内動態の差異を評価する。加えて、この薬物動態の差異が、アスタチン-211を標識した場合の毒性などにどのように反映されるのかという点を検証していく。

Causes of Carryover

2022年度は、リンカー構造が異なるアスタチン-211標識抗体の体内動態を評価すると共に、複数の改変抗体を作製した。
2023年度は、2022年度作製した各改変抗体に放射性同位元素を標識し、担癌マウスにおけるこれらの腫瘍集積や臓器分布等の差異を評価する。加えて、この薬物動態の差異が、アスタチン-211を標識した場合の毒性等にどのように反映されるのかという点を検証していく。
放射性同位元素の購入費、細胞培養やモデル動物の作製並びに飼育のための費用等に助成金を使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Tumor Targeting of 211At-Labeled Antibody under Sodium Ascorbate Protection against Radiolysis2023

    • Author(s)
      Takashima Hiroki、Ohnuki Kazunobu、Manabe Shino、Koga Yoshikatsu、Tsumura Ryo、Anzai Takahiro、Wang Yang、Yin Xiaojie、Sato Nozomi、Shigekawa Yudai、Nambu Akihiro、Usuda Sachiko、Haba Hiromitsu、Fujii Hirofumi、Yasunaga Masahiro
    • Journal Title

      Molecular Pharmaceutics

      Volume: 20 Pages: 1156~1167

    • DOI

      10.1021/acs.molpharmaceut.2c00869

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] アスコルビン酸Naは放射線分解による能動的標的化の障害からアスタチン-211結合抗体を保護する2022

    • Author(s)
      髙島 大輝、大貫 和信、眞鍋 史乃、古賀 宣勝、津村 遼、安西 高廣、WANG Yang、羽場 宏光、藤井 博史、安永 正浩
    • Organizer
      第38回日本DDS学会学術集会
  • [Presentation] アルファ線放出核種アスタチン-211結合抗体の前臨床試験2022

    • Author(s)
      髙島 大輝、眞鍋 史乃、大貫 和信、古賀 宣勝、津村 遼、安西 高廣、WANG Yang、YIN Xiaojie、佐藤 望、重河 優大、南部 明弘、臼田 祥子、羽場 宏光、藤井 博史、松村 保広、安永 正浩
    • Organizer
      第26回日本がん分子標的治療学会学術集会
    • Invited
  • [Presentation] Sodium ascorbate protection against radiolysis is indispensable to maintain active targeting of <sup>211</sup>At-labeled antibody2022

    • Author(s)
      Hiroki Takashima, Kazunobu Ohnuki, Shino Manabe, Yoshikatsu Koga, Ryo Tsumura, Takahiro Anzai, Yang Wang, Xiaojie Yin, Nozomi Sato, Yudai Shigekawa, Akihiro Nambu, Sachiko Usuda, Hiromitsu Haba, Hirofumi Fuji, Masahiro Yasunaga
    • Organizer
      第81回日本癌学会学術総会

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Published: 2023-12-25  

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