2023 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性骨髄不全症候群に対する網羅的プロテオミクス解析
Project/Area Number |
22K15601
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若松 学 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00908882)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロテオミクス解析 / 遺伝性骨髄不全症候群 / シュワッハマン・ダイアモンド症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性骨髄不全症候群(Inherited Bone Marrow Failure Syndrome; IBMFS)は、先天的な遺伝子変異が原因で造血不全を呈する症候群の総称で、シュワッハマン・ダイアモンド症候群、ファンコニ貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、先天性角化不全症などの疾患が含まれる。最近では、深層プロテオミクス解析で10,000を超えるタンパク質の包括的な定量解析が可能である。しかし、IBMFSに対する網羅的プロテオミクス解析は、その有用性や意義について十分に評価されていない。申請者は、先天性角化不全症(n = 12例)、ファンコニ貧血(n = 11例)、ダイヤモンド・ブラックファン貧血(DBA、n = 9例)、シュワックマン・ダイヤモンド症候群(SDS、n = 6例)、ADH5/ALDH2欠損症(n = 4例)、およびその他のIBMFS(n = 18例)に対して、網羅的プロテオミクス解析を実施した。プロテオミクス解析に基づく教師なしクラスタリングでは、8つの独立したクラスター(C1-C8)を同定し、リボソーム経路はC1/C2で特異的にdown-regulateされ、それぞれDBAとSDS患者が濃縮されていた。ADH5/ALDH2欠損症患者ではADH5タンパク質発現が有意に低下し、SDS患者ではSBDSタンパク質発現が有意に低下した。次にIBMFSの大規模スクリーニングシステムを構築するため、IBMFS疑い例を含む417例のExtensionコホートに対して標的プロテオーム解析を行った。結果、SDS患者ではSBDS、ADH5/ALDH2欠損症ではADH5タンパク質発現がそれぞれ有意に低下していた。本研究による標的プロテオミクスアッセイの臨床応用は、適切な臨床スクリーニング検査のないBMFSの診断およびスクリーニングに役立つ可能性がある。
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