2022 Fiscal Year Research-status Report
Ewing肉腫に対するHLA-A24拘束性ネオアンチゲン特異的免疫細胞療法の開発
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22K15612
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石井 翠 順天堂大学, 医学部, 助教 (50637866)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | iPSC / CTL / Ewing肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、健常人ドナーから改変ペプチドを用いて細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導を行い、neoantigen 特異的なCTL誘導が可能で、MHC テトラマーで検出可能なエピトープの候補を絞ることを念頭に研究を進めた。 Ewing肉腫の融合遺伝子EWS/FLI1の融合部分を標的とする改変エピトープの候補を検討した。HLA-A24とEWS/FLI1 融合部分の改変アミノ酸列のin silico解析の結果より、9個のアミノ酸配列のうち、先頭のセリン(S)と末尾のチロシン(Y)を変更することによって適合性及び結合性が上がると予測される6種類の抗原ペプチドを選択して作製した。 上記のペプチド6種を用いて健常人ドナーからCTLを誘導した。CTL誘導は、最初に健常人ドナーから採血して1週間かけて適切なメディウム及びサイトカインを添加することによって抗原提示細胞を誘導する。1週間後に同一ドナーから採血し末梢血単核球と抗原ペプチドを提示させた抗原提示細胞とを共培養することによりCTLへ誘導する。ここでも適切なメディウム及びサイトカインを適宜添加した。抗原提示細胞との共培養は合計2回行った。 誘導したCTLを用いてELISPOT assayを行った。6つのうち2つの改変ペプチドによるCTL誘導において、ネガティブコントロールと比較してINFγの産生を認める結果となった。一方で、HLA-A24のQuick switchテトラマーでの解析でも非常に僅かではあるがCD8陽性、Tetramaer陽性となる細胞を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HLA-A24拘束性のエピトープを探索するために行っていた、in silico解析から実際に抗原提示させるペプチドを作製してCTL誘導を試みた。ELISPOT assayの結果から、6種類の改変エピトープ候補から2つの改変エピトープまで絞ることができた。この2つのエピトープについてはQuick switchテトラマーでの解析でも非常に僅かではあるがCD8陽性、Tetramaer陽性となる細胞を認めたため今後、single cell cloningを行いCTLクローンの樹立を目指して実験を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は再度、絞り込んだ2種類の改変エピトープを用いて健常人ドナーよりCTL誘導を行う。さらにsingle cell cloningを行いCTLクローンの樹立を目指す。 シングルセルクローニングを行うことによってCTL クローンを樹立する。HLA-A24拘束性EWS/FLI1 特異的CTLクローンが得られた後、CTLクローンの細胞傷害性試験を行い、高い細胞傷害性を持つTCRを持っているCTLクローンを選択、センダイウィルスベクターを用いてT-iPS細胞を樹立する。一方で、TCR遺伝子の全長配列を同定し、TCR発現ベクターを作成する。T-iPS細胞を樹立することができれば、単一のTCRを持つHLA-A24 拘束性EWS/FLI1 特異的rejTを半永久的に、繰り返し再分化誘導することができる。再分化誘導を行って得られたHLA-A24拘束性EWS/FLI1 特異的rejTとTCR-T細胞を作製し、それぞれ細胞傷害性試験を行う。in vivoでの抗腫瘍効果を無治療群や末梢血由来CTL 投与群と比較し、生存期間延長効果を試験する。 研究を遂行させるためには健常人ドナーからのCTLクローンの樹立が最も肝心である。場合によっては複数のドナーから誘導を試みより強いCTLクローンを得ることも考慮しながら実験を進めていきたいと考えている。
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