2022 Fiscal Year Research-status Report
リキッドバイオプシーを用いた膵癌コンパニオンマーカーの開発と個別化治療への応用
Project/Area Number |
22K15616
|
Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
今村 泰輔 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20870489)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 膵癌 / リキッドバイオプシー / ドライバー変異 / 術後補助療法 / バイオマーカー / TMB |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌治療において、周術期補助療法の開発が予後改善に大きく貢献した。さらなる膵癌治療成績の改善には周術期のバイオマーカー開発、それに基づく個別化治療の確立が不可欠である。本研究では、膵癌に対する周術期のリキッドバイオプシーバイオマーカーの探索を目的としている。 術前保存血漿が得られた33症例において保存血漿からcell-free DNAを抽出し、401遺伝子を対象としたoncopanel sequenceを行なって包括的に遺伝子異常探索を行なった。その結果、33症例のうち、21症例でドライバー変異を検出しこれらをcirculating tumor DNA (ctDNA)陽性群とすると、有意にctDNA陽性群で早期再発が多く、独立して予後不良であることが明らかとなった。さらに頻度は低いものの組織検査では同定されなかったアクショナブル変異が同定されるサンプルも存在することが明らかとなった。 さらに、標準治療である補助療法との関連を解析したところ、術後補助療法の開始が遅れたか、あるいは受けなかった患者においてのみ、術前ctDNA陽性は不良なRFSと関連していた。術後補助療法の開始が遅れることで、ctDNA陽性症例が再発に至る猶予を与える可能性があることを示唆している。術前ctDNA陽性膵癌では、特に併存疾患や術後合併症を考慮した手術、および術前術後補助療法戦略が必要であることが示唆された。さらに、TMB(Tumor mutation bnurden)やMSI (Microsatellite instability)が免疫治療のバイオマーカーとして注目されている、現在、組織で検出されるこれらの結果と、血液で検出される結果の違いを解析している。そして、前向きに術前治療前から治療経過を通じて繰り返し血液サンプルを採取して、これらの結果の実臨床における用性を検証する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属の変更に伴い、サンプルの収集が当初の予定より遅れいている。一方で、当初の解析予定項目ではなかったリキッドバイオプシーにおける免疫治療のバイオマーカー探索や術後補助治療の開始時期とリキッドバイオプシーの結果との相関などの解析が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属施設が変わったが、そちらで前向きにサンプル収集を開始するための手続きを早急に進めていく。また、外科のみならず内科とも連携をして、術前化学療法前のサンプル収集を強化していく予定である。また、月一度の所属施設における研究推進会議において、他の専門家と協議しながら研究を推進していく。
|
Causes of Carryover |
研究進歩状況の遅れに伴い、サンプルの処理や解析にかかるコストを次年度に使用予定とした。
|