2023 Fiscal Year Research-status Report
サル腹側線条体ドーパミンシグナルの意思決定過程における機能的役割
Project/Area Number |
22K15627
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
禰占 雅史 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (10770414)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ドーパミン / 腹側線条体 / 意思決定 / オプトジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は中脳ドーパミン領域や腹側線条体では選択行動よりも前から意思決定に関連した情報の符号化がみられ、報酬価値の情報から意思決定の情報へと遷移していく過程を発見した。一方で、投射路の1つである中脳ドーパミン領域-腹側線条体経路がどのような意思決定場面に寄与するのかは不明である。 本研究では我々の先行研究の結果を踏まえて、サル腹側線条体における意思決定場面でのドーパミンシグナルの機能的役割に着目して研究を行う。具体的には、オプトジェネティクスを用いた手法により腹側線条体におけるドーパミン放出量を局所・時間限定的に増加させ、選択行動の促進効果がみられるのか、また、腹側線条体の神経応答が光刺激により変化するのかを解析し腹側線条体神経細胞の応答変化の有無と選択行動との関連性について検討する。これにより、意思決定場面におけるサル腹側線条体でのドーパミンシグナルがどのような機能的メカニズムによって意思決定シグナルの調節に関与するのかが明確になる。 2023年度は2頭目からのデータ取得も終了し、チャネルロドプシンの脳内発現を解剖学的にも確認できた。また、意思決定場面での腹側線条体のドーパミンシグナルを光刺激によって操作することによって、行動選択が有意に変化する様子も2頭で確認することができた。そして、これらの効果は意思決定時の行動選択の潜時といった運動そのものには影響しないことを示唆するデータが2頭で得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は当初の計画通り2頭目からのデータ取得も終え、計画の骨子となる腹側線条体のドーパミン神経細胞軸索末端でのチャネルロドプシンの発現をヒストロジーによって確認できた。また、腹側線条体での局所的なドーパミン放出量の操作が選択行動に寄与していることを示唆するデータも2頭で得られた。次年度はより一層解析を進めるとともにこれまでの一連の研究から得られた所見をまとめる予定である。 以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらにデータ解析を進め、これまでの実験で得た腹側線条体の神経応答データや電気刺激による意思決定の選択行動変化のデータといった一連の成果を踏まえて、腹側線条体の意思決定における機能的役割について総合的にまとめていく。 また、腹側線条体と他領域での意思決定における役割の差異についても検討していく予定としている。
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