2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K15630
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
本田 耕太郎 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (70803625)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 痒み / 掻破行動 / 確率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は掻破行動の繰り返し法則の解明を目指している。研究代表者は健常および乾燥肌モデルマウスの掻破行動の繰り返しについて、同じ成功確率で最初の成功まで繰り返す試行を意味する幾何分布でモデル化できる可能性を見出した。幾何分布のパラメータは成功確率を意味するpのみであり、掻破行動における成功は痒みの消失であるため、ある集団または個体に起こる痒みの特徴を止痒成功確率pで表すことができる。本年度は起痒物質の皮内投与による急性痒みモデルマウスにおける掻破行動の繰り返しについて、同じ方法論を用いて解析した。 痒み物質としてヒスタミン、非ヒスタミン性の痒み物質であるクロロキン、アトピー性皮膚炎の主要な痒み物質であるIL-31、痛み物質としてカプサイシンを使用した。これらの物質に惹起される掻破行動の繰り返しパターンは健常時に比べランダム性が非常に大きくなっていた。そこで幾何分布を仮定したパラメータの最尤推定値から得られる確率分布を作成し実測値をプロットしたところ、すべての実験条件で実測値が推定値に近接することが分かった。各成功確率を比較すると、ヒスタミンとカプサイシンがもっとも大きく、次いでIL-31、クロロキンの順で低下していた。 これらの結果は止痒成功確率が痒み物質の皮内投与直後に低下することを示唆する。また痛み物質で起こる掻破行動も幾何分布でモデル化できたことから、掻破行動に至るまでの心的現象が異なっていても、掻破行動の際には同等な中枢神経系メカニズムを利用している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は痒み物質の皮内投与による急性痒みモデルを用いて掻破行動の繰り返し法則の解析を行った。当初は痒み物質の単回投与で成功確率の低下が見られるかどうか不明であったため、成功確率の低下が見られるまで複数回連日投与する予定であった。結果として、痒み物質の投与直後の測定データにおいて成功確率の低下が見られた。また生理食塩水等の溶媒群の皮内投与においても健常群と比較してわずかに成功確率が低下している可能性が示唆された。そのため、皮膚状態のわずかな変化を迅速に成功確率の低下に変換するシステムがあるだろうと考えられた。これらの結果から、本年度の研究計画は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更は特に無く、研究を実施する予定である。研究代表者は脊髄痒み神経経路の特徴と掻破行動回数の関係を既に報告している。本研究課題ではこの研究を成功確率の変動として解析した場合に、脊髄痒み神経経路が成功確率の低下とどのような関係にあるかを解明する。
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Causes of Carryover |
動物実験に供する動物数を減らすことができたため。また投稿論文の英文校正等を次年度に実施することにしたため。
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Research Products
(2 results)