2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K15651
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
上野 真一 順天堂大学, 医学部, 助教 (40875944)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 血液脳関門 / 多系統萎縮症 / 進行性核上性麻痺 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)は、α-シヌクレイン(AS)が脳のみならず全身に蓄積する神経変性疾患で、脳内ではレヴィ小体というASの凝集体を形成することが、疾患を特徴づける重要な病理学的メカニズムである。そして我々のグループでは、PD患者血中から微量なASシードを検出することに成功した。そのため血液中にASシードが存在するPDでは血液を介した病態進展形式が存在することが想定される。しかし、血液から脳への物質搬送はBBBという関所を通過する必要があり、いかにして血液ASシードが脳から全身へ、全身から脳へ通過するのかを明らかにする必要がある。それらのことから、患者個々人により症状の表現型や進行の速度が異なるといった多様なPD病態は、血液を介した病態進展メカニズムの基となりうるBBBの破綻が鍵になると考え、本研究計画を遂行した。 まず、本年度はPD3例、多系統萎縮症2例、進行性核上性麻痺1例についてダイナミック造影MRIを撮影し各疾患毎の造影剤漏出の程度を解析した。PDでは既報通り後頭葉などの血流低下がみられる傾向にあったが、しかし症例数が少ないためか疾患特異的な傾向が得られていないため、今後症例数の蓄積を行う。各症例の血液、髄液検体のサンプリングは完了しており、症例数が集まった時点で解析を一斉に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は合計6例についてダイナミック造影MRIを撮影し、既に血液や髄液のサンプリングも終了している。放射線科や神経病理部とも連携して、検査手順の簡便化や今後の剖検脳解析の準備を整っている。そのため今後さらなる症例の蓄積を行うことが加速することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めているMRIの結果をもって疾患特異的な漏出部位が特定されれば、剖検脳を解析しBBB障害の程度と部位を観察する。さらに患者から得られた血液、髄液を用いてGFAP、S100β、NSEといったBBB関連マーカーと組み合わせて病態をマルチモーダルに解析する予定である。マウスモデルの準備も並行して進めており、マウスに対するASシードの線条体への投与は既に手技として獲得している。臨床研究における症例の蓄積とともに、マウスモデルでの基礎的な側面からメカニズムを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定通り、現在までに保険診療内でのMRI画像評価などを中心に行っており、今後剖検脳の免疫学的評価やバイオマーカー探索など一括して行う予定であるため、次年度に繰り越す形式となった。
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