2023 Fiscal Year Annual Research Report
モルヒネ代謝物モルヒノンに着目したモルヒネ鎮痛耐性メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K15657
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松尾 康平 福岡大学, 薬学部, 助教 (10802499)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | モルヒネ / モルヒノン / 親電子性物質 / 耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
モルヒネの代謝経路としてモルヒノンを中間代謝物とする経路が生体内に存在している。モルヒノンは親電子性を有し、タンパク質のような高分子と結合するという特徴を持った唯一のモルヒネ代謝物である。本研究では、モルヒノン処理細胞の検討を中心に行い、センサータンパク質との複合体形成を起点とした遺伝子発現変動から、モルヒノンによる鎮痛耐性形成や、耐性形成以外のモルヒノンの役割についても解析し、以下の結果を得た。 1.モルヒノンによるKeap1/Nrf2経路の活性化:モルヒノンは、センサータンパク質であるKeap1を親電子修飾し、抗酸化や薬剤耐性に関与する転写因子Nrf2を活性化させ、下流遺伝子の発現を誘導した。 2.モルヒノンによるHSP90/HSF1経路の活性化:モルヒノンは、センサータンパク質であるHSP90を親電子修飾し、抗アポトーシスに関与する転写因子HSF1を活性化させ、下流遺伝子の発現を誘導した。3.モルヒノンによるAkt/CREB経路の活性化:モルヒノンは、細胞生存に関与するAktのリン酸化を誘導し、転写因子CREBを活性化させることで、抗アポトーシスタンパクBcl-2の発現を誘導した。これらの結果は、モルヒノンによるな酸化還元シグナル伝達経路の活性化を介した遺伝子発現制御を裏付けるものである。今後、モルヒネの体制形成に関わるμ受容体とモルヒノンの結合について詳細な検討を行う予定である。
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