2023 Fiscal Year Research-status Report
血流感染症における新規迅速診断法の開発と重症度判定の臨床的有用性の評価
Project/Area Number |
22K15688
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
丹野 大樹 福島県立医科大学, 保健科学部, 助教 (90837527)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血流感染症 / 敗血症 / デジタルPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は、医療が発達した現代においても死亡率が30~50%と治療困難な病態であり、「早期診断と早期治療介入」が救命率を改善させる最も効果的な手段とされている。敗血症診断の臨床検査法として敗血症マーカーと血液培養検査の2つが用いられているが、早期診断と早期治療介入が重要な敗血症診断において現状の臨床検査法では不十分といえる。本研究は、第3世代PCRと呼ばれるデジタルPCR技術を用いて、敗血症診断の新たな臨床検査法の開発を目指すことを目的としている。 昨年度までの研究により最適なPCR条件の設定とデジタルPCRの検出限界が確認されたが、これまで使用していた機器の試薬消耗品が急きょ製造中止となり、代替機器への変更が余儀なくされたため再度基礎的検討からやり直すこととなった。幸いにも、代替機器は4系統の標識を1度に解析することができ、当初計画していたグラム陽性菌、グラム陰性菌に加え、酵母様真菌(カンジダ属菌)、ヒトゲノムDNA(RNase P)の検出を1回のアッセイで可能となった。 基礎的検討として、ヒト血流感染症の原因菌であるグラム陽性菌、グラム陰性菌、カンジダ属菌、ヒトゲノムDNAの検出について、各種人工合成DNAを用いて4ターゲットのマルチプレックスアッセイで検討した。本検討により、上記4ターゲットはすべて1~10000 copies/μlまでR2=0.99以上の直線性で検出が可能であること、さらに、ヒトゲノムDNA 10ng相当(3300 copies/反応)が混在していても各種病原菌を検出できることを確認した。また、グラム陰性菌では2~3 copies/μl、グラム陽性菌とカンジダ属菌では1 copies/μl程度はバックグラウンド増幅がみられることも確認された。本年度の基礎的検討を受け、来年度は、実際にヒト血液を混合した疑似検体を用いて解析を進めていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで使用してきたデジタルPCR機器の試薬消耗品が急きょ製造中止となり、試薬消耗品が入手可能な代替機器への変更が余儀なくされ、再度基礎的検討からやり直すこととなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果を受けて、2024年度は健常者血液に大腸菌などの既知細菌を加えて擬似検体を作製し、実際に病原微生物が検出できるかを検討する。これまでの基礎的検討で用いた人工合成DNAとは異なり、ヒト血液由来物質によるPCR阻害なども考えられるため、プライマー・プローブ濃度を高めに設定するなどして対処していく。
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Causes of Carryover |
試薬消耗品や学会参加等の都合により次年度使用額が多少生じてしまったが、翌年度分の助成金と合わせて試薬消耗品等の購入に充当していく計画である。
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