2022 Fiscal Year Research-status Report
Research for screening of carbapenemase-producing bacteria
Project/Area Number |
22K15689
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
斎藤 恭一 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (10835961)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カルバペネム耐性菌 / カルバペネマーゼ産生菌 / 薬剤感受性 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌感染症の治療において切り札的に使用されることの多いカルバペネム系抗菌薬を無効化するカルバペネム耐性菌は昨今の薬剤耐性菌問題の中でも喫緊の課題である。カルバペネム耐性菌は様々な機序で耐性を獲得しているが、その中でもカルバペネム薬を分解してしまう酵素カルバペネマーゼを産生するカルバペネマーゼ産生菌は治療が難しいだけでなく、院内アウトブレイクの原因となることもあり、とりわけ重要である。 カルバペネマーゼ産生菌検出法はこれまで種々報告され病院検査室等で実施されているが、コストや手間を要するため日常的に実施できる検査ではない。そのため日常のルーチン業務の中でカルバペネマーゼ産生菌を効率よく監視できる一次的スクリーニングが必要である。 本研究は低コストで手間が少なく病院検査室で日常的に実施できるカルバペネマーゼ産生菌スクリーニング手順の確立を目指す。具体的には、酵素阻害薬や異なる系統の抗菌薬を調合した液体培地を用いて被疑菌株を培養し、陽性菌株を抽出することを想定している。 当該年度においては収集したカルバペネム耐性菌(約300株)の薬剤感受性を測定、PCR法を用いたカルバペネマーゼ産生遺伝子・耐性に関与する他の耐性遺伝子・因子(ESBL産生遺伝子、AmpC型セファロスポリナーゼ産生遺伝子、薬剤排出ポンプ、ポーリン変異など)の解析・同定を行い、対象菌株をカルバペネマーゼ産生・非産生株に分類した。これらの菌株を対象として次年度には効率的なカルバペネマーゼ産生菌スクリーニング環境の構築を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において予定した実験計画は以下のように遅滞なく完了している。 ・収集したカルバペネム耐性菌(約300株)の薬剤感受性の測定:寒天平板希釈法を用いて薬剤耐性に関与する各抗菌薬に対する各菌株の最小発育阻止濃度を測定した。 ・PCR法を用いたカルバペネマーゼ産生遺伝子の解析と同定:IMP型、KPC型、NDM型、OXA-48型などをターゲットとしたマルチプルプライマーを用いたPCRによりカルバペネマーゼ産生遺伝子を型別した。 ・耐性に関与する他の耐性遺伝子・因子(ESBL産生遺伝子、AmpC型セファロスポリナーゼ産生遺伝子、薬剤排出ポンプ、ポーリン変異など)の解析と同定:上記と同様に各種ESBLやセファロスポリナーゼをターゲットとしたマルチプルプライマーを用いてPCRにより各菌株を型別した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り2023年度は薬剤感受性試験とカルバペネマーゼの型別が完了した対象菌株を用いてスクリーニング環境の構築に向けた実験を行う予定である。具体的にはエルタペネムおよびイミペネムを中心にタゾバクタム、アビバクタム、レレバクタムなどの酵素阻害薬を配合することで効率的にカルバペネマーゼ産生菌を抽出でき、かつESBL産生菌などその他の耐性菌による偽陽性を減らすスクリーニング環境の設計を目指す。
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Causes of Carryover |
PCRに関係する物品(サーマルサイクラー、試薬類、チューブ類、PCR産物精製試薬など)に関して実験を実施する福島県立医科大学臨床検査医学講座の共用機機や物品を使用したため想定よりも使用額が減じた。 繰り越された研究費を用いて学会発表の機会を増やすことと、試薬類とくに高額である酵素阻害薬の種類と購入量を増やすことを検討している。
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