2023 Fiscal Year Annual Research Report
尿中遊離糖の腫瘍マーカー探索と臨床応用に向けた定量法の確立
Project/Area Number |
22K15700
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
半澤 健 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 研究員 (00808347)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遊離糖鎖 / 尿 / がん / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿中遊離糖鎖の高分子領域の解析では、三・四本鎖の多分枝N-結合型糖鎖の胃、大腸がん患者における増加傾向がLC/MS/MS測定 (SRM)により確認された。シアリルルイス構造を含むもの、枝の非還元末端側が全てa2,6-シアリル化された糖鎖構造が増加傾向の特徴であり、これらの点に関しては以前に報告した低分子領域で増加した糖鎖の特徴と類似していた。 一方で、遊離糖鎖調製プロトコールに関して、収率の安定性の向上、操作の単純化およびコスト削減を目指し、全体的な見直しを行った。従来は、糖鎖の蛍光標識前精製として陽イオン交換樹脂とグラファイトカーボンによる固相抽出、標識後の精製としてフェノール・クロロホルム抽出、さらなる陽イオン交換樹脂およびグラファイトカーボン固相抽出という煩雑な操作を行っていた。今回は、市販の核酸精製用の親水性磁性粒子を用いたより単純化された遊離糖鎖調製プロトコールを検討した。まず、試料中のタンパク質を主とした高分子成分を磁性粒子上に50%程度の有機溶媒で吸着させることで除去、続いて、新たに添加した磁性粒子上へ遊離糖鎖を高濃度の有機溶媒により保持させたうえで洗浄しその後溶出する (親水性相互作用液体クロマトグラフィー (HILIC))、という操作を採用した。さらに、糖鎖の標識後の精製も同様に磁性粒子を用いたHILIC精製によって行う条件が適応できることを確認した。結果的に、高価なグラファイトカーボンカラムを使用せずに、また、複数回のイオン交換精製と液-液抽出過程を廃した、より単純化された調製法が確立された。磁性粒子を用いた系とすることにより、糖鎖調製操作の一部は磁性粒子用の処理装置を用いることで将来的に自動化へも対応可能となった。
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