2022 Fiscal Year Research-status Report
神経難病におけるリピート配列に起因する細胞骨格とオートファジー異常の解明
Project/Area Number |
22K15716
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
塩田 智 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70837062)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 神経筋疾患 / オートファジー / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、PRポリペプチドの細胞毒性機序を、生化学的手法とプロテオーム解析を用いて機械的特性の変化という観点から明らかにすることを目標とする。そのために、①PRポリペプチドが誘導する細胞の機械的特性と、細胞内シグナル伝達変化の機序解明、②細胞骨格変化によるオートファジー経路の制御機構、③PRポリペプチドが誘導する細胞骨格変化とオートファジーに関する標的タンパクの同定を行うことを目指す。 当該年度では①に関して、PRポリペプチドに曝露された細胞において、細胞骨格と接着斑免疫細胞染色を用いて細胞骨格と接着斑に関する検討を行った。またその免疫染色画像を用いて解析評価を行った。その結果、PRポリペプチドに曝露した細胞では細胞骨格の異常リモデリングがみられること、接着斑の異常成熟を示唆するデータを得た。 具体的に、PRポリペプチド曝露後に、1. アクチンフィラメントは細胞の輪郭周囲に集積する、2. 微小管は細胞内で点状に観察されるようになり脱重合を示す、3. 中間径フィラメントは密度の高い網目状ネットワークを形成するようになった。接着斑は、PRポリペプチドに曝露されていない細胞では細胞質全体にびまん性に観察されるが、PRポリペプチドに曝露された細胞では、細胞の辺縁に偏在し、さらにサイズが増大し、異常成熟を来すことを確認した。 細胞骨格や接着斑は、細胞の機械的特性を制御する因子であることから、PRポリペプチドに曝露された細胞では細胞の機械的特性が変化することが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、PRポリペプチドが細胞の機械的特性に与える影響を明らかにすることを目指す。さらに、オートファジー異常についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
当該年度ではすでに入手している抗体を用いた免疫細胞染色や、免疫染色画像を用いた画像解析が主体で有り、次年度使用額が生じた。本年度は新たな実験系確立のために抗体を始めとする実験試薬の新規購入等を予定しており、そのために使用する。
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