2022 Fiscal Year Research-status Report
MAIT細胞による脳血管性認知症の病態制御機構の解明と新規治療開発の基盤的研究
Project/Area Number |
22K15718
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中島 翔 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任講師 (10926273)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血管性認知症 / MAIT細胞 / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な事情により研究に大幅な遅れが出てしまったため、まずはこの1年間における研究の展望に関する計画の概要を以下に提示する。 対象人数は減らさざるを得ない可能性はあるがまずは臨床データを集めるところから始める必要があり、基本的には研究実施計画の内容を変えずに臨床データを取得する努力をする。また血液検体を用いてフローサイトメトリーによる解析を行う。動物実験に関してはそれらのデータが一定数まとまった段階で改めて検討する方針とする。 この中で、科研費は基本的にはフローサイトメトリーの使用料、抗体(10種類以上購入予定)や必要な実験器具、消耗品の購入などに割り当てる。初年度からの持ち越し分があるが、抗体をまとめて購入するだけでも悠に100万円は超えてしまうと思われるので、1-2年目を月算した予算でちょうど良いと考えている。また先の実験とはなるが動物実験を開始する際にはマウスの購入費用、実験器具の購入費用として活用させていただく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本実験の研究実施計画作成時には予定していなかったが、2022年夏に新天地へ異動することとなった。新しい勤務地では医局の立ち上げの時期で臨床における業務が忙しく、なかなか実験に時間を割くことができないでいたこと、学内での申請書類を含め改めて作りなおす必要があり、実験設備や学内でのルールも元の場所とは勝手が違うことから一から慣れる必要性があること、など複数の理由から想定よりも大幅に実験開始が遅れてしまうこととなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずこの1年間で以下のことを進めていく。 入院中または外来通院中の小血管病性認知症患者10-20名、脳アミロイドアンギオパチー患者5-10名、脳血管障害の既往がない認知機能が正常な対照群10-20名からなる計25-50名の被験者を登録。頭部MRI画像、脳血流量SPECTおよび血液検査を施行して、両群の比較を行う。評価内容は以下に示す。認知機能障害に関しては長谷川式認知機能スケール(20点以下)、MMSE(20点以下)、MoCA-J(25点以下)を用いて認知症と診断する。 1.血管性認知症のうち小血管病性認知症(多発ラクナ梗塞性認知症およびBinswanger病)と診断できる患者、Modified Boston Criteriaでアミロイドアンギオパチーと診断できる患者の病態や認知症の重症度(HDS-R, MMSE, FAB, MOCA-J)、画像(頭部MRI,脳血流SPECTのパターンによる分類)、患者背景を健常対照群と比較する。2.血液サンプルを収集し、フローサイトメトリー(FACS)にて好中球、単球およびCD4+T, CD8+T, CD4-CD8-T, MAIT, γδT細胞数と総Tリンパ球中の比率を解析するとともに、各リンパ球の活性化(CD69陽性リンパ球の比率)を比較し、血管性認知症の重症度との関連性を解析。3.末梢血中サイトカイン(IL-1β, IL-6, IL-10, IL-17, IL-23, TNF-α, IFN-γ, TGF-βなど)の産生量についてELISAで測定し血管性認知症の重症度との関連を評価。 動物実験に関しては上記データが一定数集まってから追加で施行していく予定とする。
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Causes of Carryover |
本実験の研究実施計画作成時には予定していなかったが、2022年夏に新天地へ異動することとなった。新しい勤務地では医局の立ち上げの時期で臨床における業務が忙しく、なかなか実験に時間を割くことができないでいたこと、学内での申請書類を含め改めて作りなおす必要があり、実験設備や学内でのルールも元の場所とは勝手が違うことから一から慣れる必要性があること、など複数の理由から想定よりも大幅に実験開始が遅れてしまうこととなったため。 ひとまずはフローサイトメトリーにおける抗体など高額となることが予測される物品を含め、次年度に持ち越したとしても消費する予定があることから、予定通り実験に必要な物品の購入費として活用させていただく。
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