2023 Fiscal Year Research-status Report
幼少期ストレスモデルマウスに対する前頭葉ニューロモジュレーションの改善効果検討
Project/Area Number |
22K15759
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
國石 洋 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (60805034)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幼少期ストレス / 眼窩前頭皮質 / 扁桃体 / ニューロモジュレーション / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
情動制御に重要な神経回路として眼窩前頭皮質(OFC)の内側または外側小領域から扁桃体の基底外側核(BLA)に投射する神経回路に注目し、幼少期マウスに対する社会隔離ストレスの影響とその機能異常に対する光遺伝学的なニューロモジュレーションの影響を調べた。 これまでの研究で、幼少期のマウスに社会隔離ストレスを与えると、内側OFC-BLA回路のシナプス伝達の低下と外側OFC-BLA回路のシナプス伝達の亢進が引き起こされ、それぞれ社会性の異常とうつ様行動の異常の原因となることを明らかにした。 そこで、これらの回路のシナプス機能の異常を、光遺伝学的な神経可塑性の誘導で改善できないか試みた。幼少期社会隔離ストレスマウスの内側OFCへ光遺伝学的な高頻度刺激、または外側OFCへ低頻度刺激を与えたところ、それぞれ社会性とうつ様行動の異常が改善される結果が観察された。興味深いことに、内側OFCへの刺激はうつ様行動、外側OFCへの刺激は有意な影響を与えなかった。 加えて、これらの介入が扁桃体へ投射するOFCニューロンの機能に与える影響を明らかにすることを目的に、OFCから扁桃体へ投射するニューロンの蛍光ラベルを試みた。扁桃体に逆行性のAAVベクターを局所投与することで、OFCから扁桃体に投射するニューロンにEYFPやmCherryなどの蛍光タンパク質を発現させ、蛍光ラベルすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OFCへの光遺伝学的なニューロモジュレーションによる行動への影響を確認できた。また、AAVによる逆行性ラベルなど、扁桃体へ投射するOFCニューロンの機能解析の準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
OFCへの高頻度・低頻度刺激が扁桃体へ投射する内側・外側OFCのニューロンの神経可塑性へ与える影響を明らかにしていきたい。加えて耳介迷走神経刺激などのその他のニューロモジュレーションによる行動・回路変化などの影響も今後明らかにしていく予定である、
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Causes of Carryover |
ファイバーフォトメトリー装置などを別の財源で購入したため、次年度使用額が生じた。次年度の消耗品やAAVベクター購入代金、学会への旅費などに使用する予定である。
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