2022 Fiscal Year Research-status Report
The development of a home treatment program targeting impaired affective cognition in major depressive disorder
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22K15764
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
陳 冲 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70783067)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | うつ病 / 運動療法 / ポジティブな記憶想起 / 自然療法 / 情動認知障害 / 意思決定 / 認知柔軟性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、通常の通院治療に加え、抑うつ症状だけではなくうつ病における情動認知障害の改善にも寄与できる「運動」、「ポジティブな自伝的記憶の想起」、「自然環境とのふれあい」といった三つの行動介入法を統合した在宅治療プログラムの開発を目的としている。そのため、初年度ではまず各行動介入法の適切なプロトコルを決定するために、それぞれの有効性を独立的に検証する研究を行った。「運動」介入については、日常的な運動の一つである階段登行が気分や認知柔軟性に及ぼす影響を健常者52名を対象に調べた。その結果、エレベーターによる移動と比較して、2階分と5階分の階段登行による気分の変化は認めなかったが、8階分の階段登行による気分の悪化を認めた。一方、2階分の階段登行のみによって認知柔軟性を示す代替用途テストにおける斬新性の向上や問題解決力を示すマッチ棒テストにおける成績の向上が見られた。「ポジティブな自伝的記憶の想起」介入については、健常者38名を対象にポジティブな自伝的記憶の想起が意思決定におけるリスク回避や確率荷重に与える影響を検証した。その結果、中性的記憶想起と比較して、ポジティブな記憶想起が確率荷重を逆S字型へと変化させ、小さい確率をより大きく認知させること(リスク追及)が分かった。うつ病患者では確率荷重がS字型になる傾向を有しており、小さい確率をより小さく認知する傾向(リスク回避)が報告されている。ポジティブな記憶想起はこれを逆方向に変化させ、リスク追求傾向へと回復させることができることが示唆された。さらに、「自然環境とのふれあい」介入については、患者の療養環境の改善を意識して、うつ病患者を対象に自然環境の画像鑑賞による気分向上効果を検証した。当該研究は現在データ解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度には在宅治療プログラムの作成を計画しており、その基本プログラムにおける三つの行動介入法の決定が主な研究内容である。研究実績から、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において検証した介入案を踏まえて、抑うつ症状だけではなく、うつ病における情動認知障害の改善にも寄与できる在宅治療プログラムを作成していく。また、作成したプログラムの有効性を検証するため、うつ病患者を対象にランダム化比較試験を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画では初年度から在宅治療プログラムの有効性を検証するランダム化比較試験において介入のために使う観葉植物や日常的な運動量を測定するためのApple Watch機器を購入する予定であったが、観葉植物の世話による負荷や機器のバージョンアップなどを考慮し、令和5年度のランダム化比較試験を実施直前に変更した。そのため、次年度使用額が生じた。当該使用額を令和5年度にApple Watch機器の購入などに使用する予定である。
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Research Products
(5 results)