2022 Fiscal Year Research-status Report
解剖学的・機能的ネットワーク解析による健常高齢者の不安全運転の脳神経基盤の解明
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22K15770
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 保天 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (40930300)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 拡散テンソル画像 / 不安全運転 / 健常高齢者 / TBSS |
Outline of Annual Research Achievements |
健常高齢者の不安全運転リスクを客観的に評価する実車運転評価方法の確立に向けた研究を押し進めており、今年度は下記のように、注意機能に関連する白質の微細構造変化と健常高齢者の不安全運転リスクとの関連を明らかにし、PCN reports誌に論文を報告した。 我々のこれまでの研究では、背側注意ネットワーク(DAN)内の脳領域における灰白質の体積変化が、健康な高齢者における危険な運転のリスクと強く関連していることが示された。しかし、健康な高齢者における白質(WM)構造と運転能力の関係はまだ不明であった 今回の研究では、我々は、拡散テンソル画像を用いて、DANの微細構造変化と健康な高齢者の危険な運転リスクとの関連を検討した。65歳以上の健康な高齢者32名を対象として、路上運転テストを用いて不安全運転者をスクリーニングした。そして、tract‐based spatial statistics(TBSS)を用いて、不安全運転者のWM異常のパターンを同定した。 その結果、不安全運転者は、安全運転者と比較して、9つのWMクラスターでaxial diffusivity値が有意に高いことが示された。この結果は、主にDANに関与する上縦束で両側性に観察された。さらに、相関分析により、上縦束のaxial diffusivity値が高いほど、不安全運転者のTrail Making Test Aスコアが低いことと関連することが示された。この結果は、機能的には、DANのWM微細構造の変化が注意の問題と関連し、健康な高齢者における危険な運転のリスクに寄与する可能性があることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、初年度で数名のリクルートを完了している予定であった。実際には、リクルートは予想よりも順調に行え、「White matter alterations in the dorsal attention network contribute to a high risk of unsafe driving in healthy older people」というタイトルの論文の掲載にも至れた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見をもとに、より大規模な研究、日本各地での研究を行なって地域差によるバイアスのない客観的なリスク評価法の確立を目指す。さらにはリハビリテーションによる介入法・個別性の高い指導や介入を行うことで、適切かつ効果的な高齢者へのモビリティ支援の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は計画よりも順調に研究を進めることができたため。次年度使用額は、次年度で新たなリクルートを多く行っていく際に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)