2022 Fiscal Year Research-status Report
Sez6スプライスバリアントの差異が認知機能形成に与える影響
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22K15789
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
日高 千晴 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (10783673)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Sez6 / 膜タンパク質 / スプライスバリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で着目しているSez6は脳に特異的に発現し、Sez6遺伝子欠損により神経細胞間接着構造シナプスの減少や認知機能の異常を引き起こすことがマウスモデルで明らかとなっている膜タンパク質である。さらに選択的スプライシングにより複数のSez6スプライスバリアントを生成することが知られるが、各Sez6スプライスバリアントがどのように認知機能の神経回路網形成に関わるのかはよく明らかにできていない。神経細胞をはじめとして生物を構成する細胞はタンパク質の多様性を獲得する手段の一つとして選択的スプライシングによる遺伝子の発現調節機構を持つ。この機構によって一つの遺伝子から構造が部分的に異なるスプライスバリアントを複数生み出すことが可能となる。近年、神経細胞は神経回路網の可塑性の発現にこの選択的スプライシングを利用していることが分かってきた。さらに選択的スプライシングにより生み出される各スプライトバリアントの発現は時空間的に厳密にコントロールていることも示唆されている。したがって各スプライスバリアントには個々に生理機能を有している可能性が高いと推察される。
本研究ではシナプス形成や認知機能の神経回路網形成の過程におけるSez6スプライスバリアントの機能を明らかにすることを目的して、in vivoレベルでの神経細胞の形態解析や行動解析を実施するための評価系の構築を試みる。
本年度は各Sez6スプライスバリアントを生体脳内で過剰に発現させた結果、神経細胞の形態にどのような変化がみらるのかを時空間的に観察する系の構築に着手した。この系の構築過程で実験計画当初には予定していなかった機器の新規購入の必要性が生じたため、本年度内に系を構築するところまで到達できなかった。次年度中には構築を完了して、各Sez6スプライスバリアント間の比較解析に着手することを目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
in vivoレベルで神経細胞の形態を可視化する系の構築に必要な機器の購入に時間を要したため
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Strategy for Future Research Activity |
無事に必要な機器を揃えることができたので早急に系の構築を完了させて、in vivoレベルでの神経細胞の形態形成に各Sez6スプライスバリアントがどのような影響を与えるのかの検証を実施する。
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Causes of Carryover |
購入予定の試薬納品が年度内では難しかったため、次年度での購入とするため予算を持ち越すこととした。
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