2022 Fiscal Year Research-status Report
うつ状態におけるリアノジン受容体の変化と電気けいれん療法の抗うつ効果との関係
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22K15796
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
丸山 恵美 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30792072)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | うつ / ECS / Ca2+ / RyRs / 小胞体 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はうつ病とCa2+シグナル経路との関連を主軸として電気けいれん療法(ECT)の抗うつ効果メカニズムの一部を解明し、新たな創薬のターゲットを探ることを目的とする。 拘束水浸漬ストレス負荷によって自然発症的にうつ様状態を誘発させたモデルマウスでは、海馬でリアノジン受容体(RyRs)のタンパク発現量が有意に増えているにも関わらずRyRsを介したCa2+放出能は低下し、電気けいれんショック(ECS)でうつ様症状が改善されると発現量もCa2+放出能も回復する。初年度である本年度はうつ状態でのRyRsと抑制性のKCaチャネルの関係を調べるためにスライス標本を作成し、Ca2+放出能を測定した海馬歯状回顆粒細胞のパッチクランプを試みた。しかし画像取得用PCのトラブルもあり、今年度は成功に至っていない。 一部計画を変更し、うつ様状態での小胞体の変化を電顕をもちいて形態学的に検討した。RyRsが存在する滑面小胞体には目立った変化は見受けられなかったが、海馬歯状回門においてECS処置によるシナプス小胞の増加が確認され、シナプス形成も増加傾向が見受けられた。次年度以降、パッチクランプに加えて滑面小胞体の変化の有無をより正確に調べるために生化学的検討を行う。また、RyRsのタンパク量やCa2+放出機能の変化への関与を検討するため存在領域及び密度を免疫電顕によって調べることで、RyRsだけでなく細胞内Ca2+ストアおよびCa2+の取り込み機構にも何らかの変化があるのかを探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
うつ様モデルマウスの海馬スライスを用いて海馬歯状回の顆粒細胞の興奮性を調べるため、Ca2+感受性K+チャネルの変化をパッチクランプ法による検討を試みた。数個の細胞を捉えることができたが、ギガシールを維持できず、データ取得には至っていない。さらに画像取得用PCに不具合が生じたため、更新手続きを行った。しかし海外の情勢により納品がどんどん延長され、数ヶ月以上更新できなかったことから年度内はほぼ実験できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
パッチクランプの成功率があまり上がらないことから、電位感受性色素による実験を中心に切り替える。さらに形態学的に小胞体の変化を調べるとともにRyRsのうつによる増加の理由を探るべく存在領域及び密度の検討のため免疫電顕を行う計画を追加した。
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Causes of Carryover |
購入予定だったヒータープラットフォームはコントローラーを他部署から調達できたため、プラットフォーム本体のみの購入に留めることができた。一方、年度開始早々に画像取得用PCの不具合が生じ、急遽更新手続きを行った。しかし、現在の世界情勢によって納品が年度末まで大幅に遅れた。よって実験自体はほぼ行うことができなかったため消耗品の購入が殆どなかった。次年度は装置が復旧したことから予定通りパッチクランプ法の取得に加え、Ca2+ポンプ阻害剤をもちいた実験や免疫電顕による滑面小胞体とRyRs、更にシナプス小胞との関係を順次行っていく。
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