2022 Fiscal Year Research-status Report
CT撮影における各臓器の医療被曝量の測定と被曝量低減効果の検討
Project/Area Number |
22K15805
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山下 一太 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (90838715)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 医療被曝 / CT / 散乱線 / 直接線 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022度はCOVID-19の影響で、患者さんの献体数が極端に少なく、研究用の遺体の確保に非常に難渋したため、1献体のみの測定、検証にとどまった。そのため使用するOptically Stimulated Luminescence (OSL) 線量計(nanoDot 長瀬Landauer)は他の研究で共同研究を行う他施設より貸与したものを用いた。 新鮮未固定遺体1体(男性;身長168cm 体重63kg)を対象とした。遺体の各臓器(大脳、水晶体、甲状腺、性腺、皮膚など)にOSL 線量計を埋没した後、CT撮影を施行した(SOMATOM Emotion SIEMENS 16列)。CTは実臨床に則した形で、全身CT(130kV, 100mAs)を撮影した。撮影後、各線量計を摘出して専用の測定機(microSTAR,長瀬Landauer)を用いて計測した。 結果は以下の通りである。CT撮影による各臓器の医療被曝量の平均値は、全身CTで大脳15.7mGy、水晶体14.1mGy、甲状腺20.9mGy、性腺16mGy、臍部皮膚20.2mGyであった。使用可能だった未固定遺体は損傷が大きく、予定していた頭部CT、胸部CT、腹部CTなど、他の部位の追加撮影に耐えられる状態ではなく、正確な測定を担保するため今回は全身CTのみの検証とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延による影響で、献体数が極端に少なく、研究用の未固定遺体の確保が非常に困難であった。 本研究は研究用の未固定遺体の使用が大前提である。ファントムではなく、生身の身体を使用することで、正確な臓器被曝の調査を行う必要があるため、ファントムでの代用は行わない。アフターコロナで研究用の未固定遺体が確保されれば予定通り実施を遂行する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降、アフターコロナとなり従来通りの献体数が確保できれば、同様の測定を複数の未固定遺体に対して行い、体格別の各臓器被曝量を検証する。また、各部位別のCT撮影を行い、撮影範囲内の臓器被曝量と撮影範囲外の散乱線による臓器被曝量の検証を行う予定である。
県の白菊会に今後の献体予定について尋ねており、今後の動向を見守っている。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延に伴う献体数の極端な現象のため、対象とする研究用の未固定遺体の確保が困難だったため、初年度は1献体のみの検証にとどまった。そのため、使用するOSL線量計の数は限られており、他の研究の共同研究者から貸与されたものを使用することとなり、次年度使用が生じた 各臓器被曝の検証は、OSL線量計や代理ファントムの購入などを含め、次年度の研究費、物品費とあわせて使用予定である。
|