2023 Fiscal Year Research-status Report
MRIを用いた脳脊髄液減少症に伴う内リンパ水腫の可視化と耳症状の発症機序の解明
Project/Area Number |
22K15807
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
大澤 威一郎 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40768793)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳脊髄液減少症 / 内リンパ水腫 / MRI / 内耳 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】脳脊髄液減少症は、脳脊髄液の減少により様々な神経機能障害を来す疾患である。特に耳症状は高頻度で、病態の解明や診断・治療法の開発は急務である。機序は内リンパ水腫が想定されているが、両疾患の関連性については不明な点も多い。 【目的】MRIを用いて両疾患を画像化し、その関連性を明らかにすることが本研究の主目的である。さらに、内リンパ水腫の発生に関与する他の因子や、脳脊髄液減少症に伴う他の内耳疾患を検索し、耳症状の病態解明を目指す。 【結果】2023年度は、収集したデータの解析を開始した。内耳に異常が存在するケースに関しては、内耳に異常が存在しないケースとの間で頭部所見に違いがあるとの仮説を立て、予備的な統計解析を行った。しかし、有意差は認められず、症例の少なさが原因の1つとして考えられる。脳脊髄液減少症の単純MRIでは一般的にMRミエログラフィーが用いられ、3D撮像と2D撮像の2種類が存在するが、両者を比較した報告はなかった。今回両者の比較を行い、3D MRミエログラフィーのほうが、2D MRミエログラフィーよりも髄液漏出の検出能に優れていることを見出し、原著論文として報告した。脳脊髄液減少症のMRIに関しては、どの撮像法がベストなのかの議論が少なく、標準化がなされていないのが現状である。2D撮像では髄液漏出を見逃す可能性があるため、3D撮像が望ましく、今回の結果はMRIの標準化に寄与するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内耳に異常が存在するケースに関して、症例数が少なく、仮説を実証できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
収集したデータの解析を進め、内リンパ水腫の発生に関与する他の因子の検索を行なっていく。特に内耳に異常が存在するケースに関しては、症例数を増やして解析する必要があると思われる。
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Causes of Carryover |
昨今の物価上昇や円安、商品のversion upにより、物品の価格や論文掲載料(APC)が上昇したため、2024年度分を含め使用することとした。
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