2022 Fiscal Year Research-status Report
個人の放射性物質の体内動態を反映する高精度全身計測手法の確立
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22K15811
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
玉熊 佑紀 長崎大学, 放射線総合センター, 助教 (10854424)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 体外計測 / 内部被ばく / ホールボディカウンタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は原子力災害等により放出される放射性核種を体内に取り入れたことにより生じる被ばく(内部被ばく)の線量評価手法として用いられる体外計測法に着目し、測定対象の年齢・性別に評価結果が影響を受けないような体外計測手法の確立を目的としたものである。令和4年度は、量子科学研究開発機構に設置されているホールボディカウンタ(WBC)の計数効率を数値計算により評価するためにモンテカルロシミュレーションコードを用いて当該WBCに搭載されている測定器のモデリングを実施した。具体的には、実際の測定器を用いて複数の点線源を測定した計数効率とモデリングした測定器を用いて計算により評価した計数効率を比較し、両者が一致するようにGe半導体検出器の不感層を調整した。当該モデリングの妥当性評価のため、体積線源を用いた測定を行い、測定による計数効率と数値計算による計数効率を比較したところ、100 keV以上の領域において5%以内でよく一致した。これによりモンテカルロシミュレーションコードでモデリングした測定器の妥当性が確認された。続いて、成人男性人体物理ファントム(BOMABファントム)を用いての計数効率の体軸方向に関するプロファイルを計算により取得した。放射性核種が全身均一である場合の被検者に対して計算で得られた計数効率の体軸方向プロファイルにより、計数効率が最大となる3台のGe半導体検出器の配置は中心の検出器が胸部から腹部に設定されているときであることを明らかにした。 また、モンテカルロシミュレーションコードに国際放射線防護委員会(ICRP)が作成した成人男性人体数値ファントムを導入し、BOMABファントムと同様の測定ジオメトリにおける計数効率を評価した。BOMABファントムの計算結果とICRP数値ファントムの計算を比較したところ、両者には大きな違いが確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子科学技術研究開発機構に導入されたホールボディカウンタに対する人体物理ファントムを用いた測定及びモンテカルロシミュレーションによる較正を実施した。これらの結果を国際誌に投稿し、受理されている。また、令和5年度実施予定であった体内動態の調査についても開始することができており、当初の計画に従いおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は原子力災害で放出される可能性の高い放射性核種の体内動態について調査を実施する。これにより標準人の体内の各コンパートメントにおける経時的な分布が得られ、この結果を用いて各化学形の放射性核種に対する体内動態を考慮した場合に計数効率に与える影響を評価する。 また、体内の放射線源の分布を変更することができる人体物理ファントムを用いてホールボディカウンタの測定を実施し、放射性核種が体内に不均一に分布する場合の影響について物理計測の観点からも検証する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が申請時の所属機関から他研究機関に移籍したこと及び新型コロナウイルスにより大学外への出張が制限されていたことにより実験期間が限られたため。また、それにより実験で使用する消耗品を購入できなかったため、次年度の実験に合わせて消耗品を購入するため、実験の旅費及び消耗品購入に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)