2023 Fiscal Year Research-status Report
原発性肺癌の予後予測:超高精細3D-CTによる腫瘍体積とFDG-PET/CT
Project/Area Number |
22K15824
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神谷 晋一朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60868305)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 原発性肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年開発された超高精細CTでは、スライス厚0.25mmで再構成された画像を取得することが可能である。これにより従来のスライス厚0.5mmの高精細CTと比べて8倍の情報量で3次元的に腫瘍内の性状を詳細に評価することが可能となる。また、FDG-PET/CTは腫瘍内の糖代謝を反映する機能画像診断であり、超高精細CTとFDG-PET/CTは、肺癌の浸潤性を評価する相補的な検査になりうると考られる。そこで本研究では、両者を組み合わせてより良い肺癌の予後予測の手法を確立することを目指す。 名古屋大学医学部附属病院では2019年11月から肺癌の術前検査として超高精細CTが撮像されており、順調に症例の収集が進んでいる。また併せてFDG-PET/CTも撮像されており、2021年3月からはPET/CTでの呼吸同期撮影も可能となっており、より良い画像データの収集が進んでいる。 また近年技術の発展が目覚ましい人工知能(AI)の技術も研究に取り入れた。これは、deep learningを用いて従来の5mmスライス厚のCT画像から、仮想的に0.6mmスライス厚の高精細CT画像(virtual HRCT)を生成するものである。このAIを用いてvirtual HRCTを生成することで、高精細CTと遜色なく原発性肺癌の充実成分径の計測ができることを明らかにした。2023年度には本研究の原著論文が学術誌に掲載された。 さらに、超高精細CTを用いて胸壁浸潤癌の診断に有用な所見について検討した。この結果、超高精細CTの特性である高い分解能を活かして胸壁から腫瘍に伸びる微細な血管を同定することで、原発性肺癌の胸壁浸潤の可能性を術前に予測することが可能であることを明らかにした。本研究の原著論文について、学術誌に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年11月から超高精細CTが稼働、2021年3月からは呼吸同期撮影が可能なPET/CTが稼働しており、おおむね順調に症例の収集が進んでいる。 2023年度には人工知能(AI)を用いたvirtual HRCTに関する原著論文が学術誌に掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
超高精細CTを用いた胸壁浸潤癌の診断に関する原著論文を投稿中であり、2024年度中の掲載を目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により学会の中止やオンライン開催が多くなったため、主に旅費が当初の想定よりも下回ったため。今後は感染状況も落ち着いていく見込みであり、より多くの学会に現地参加する見込みである。
|