2022 Fiscal Year Research-status Report
頭頚部扁平上皮癌化学放射線治療における口腔内・腸内細菌叢の統合解析と病態の理解
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22K15833
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
榎田 智弘 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (60785583)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Microbiome / 化学放射線治療 / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、頭頸部扁平上皮癌患者に対して実施される化学放射線治療(抗がん剤と放射線治療の同時併用療法)の経過を通して口腔および腸内細菌叢を詳細に解析することにより、治療に随伴する有害事象や治療効果に与える影響を考察し、特に放射線治療分野での細菌叢解析の意義を検証することである。各種シークエンス技術の発展により、従来培養不可能な菌の検出まで可能となり、新たな菌種の発見や培養法での検出では得られなかった詳細な細菌叢解析が可能になってきたが、本研究では、上記治療に際して治療開始前および治療完了後を含む複数回渡り収取される検体について同解析を行うことで、細菌叢の微細な変化の同定やその臨床的意義についての考察を可能とする体制とした。ここでは、存在する細菌の遺伝子機能をより正確に推定し、真菌やウィルスといった同領域での解析が未だ不十分と考えられる微生物についても解析対象とすることが可能なショットガンゲノムシークエンスを採用した。並行して、微生物叢形成に重要な影響を与えると考えられる口腔内状況(齲歯や歯周病、一般的な衛生状況など)や胃粘膜保護剤、整腸剤/プロバイオティクス、抗菌剤/抗真菌剤の使用状況についても詳細に情報を収集する体制を整理し、これらと診療録ベースで収集される有害事象(感染症、放射線性粘膜炎、肺臓炎等)と治療効果(初期奏効、無病再発期間、全生存、その後に免疫チェックポイント阻害剤使用者はその奏効も含む)との関連性を上記微生物叢の特徴や推移を軸にして解析できるよう整えた。また、これら症例の対照となる健常者コホートとして、東北メディカル・メガバンク機構が唾液・歯垢等の生体試料を収集保管し、更に16Sリボソームによる口腔内細菌叢解析が行われた約1000人の同データについてアクセス、比較できる体制を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた解析実施についての連携構築は達成され、歯科医との連携などを含めた新たな体制構築も成り、症例集積/検体収集を進めることが目下の目標となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
症例/検体収集は継続すると共に、抽出されたDNA を用いて順次DNA シークエンスを行い、遺伝子機能アノテーション等の標準的手法による各時点での細菌種およびその他の真核生物やウィルスなどの同定、多様性評価を行う。前向きに収集される、患者特性(口腔内所見など)や有害事象の発生状況、治療効果との関連を考察し、同療法における安全性(有害事象)や有効性(治療効果)に影響する可能性の高い微生物叢を同定する。可能であれば抗生剤や菌移植などにより治療効果を向上させるような新規治療コンセプトを提案する。
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Causes of Carryover |
本年度は主に検体収集に関する物品について予算を用いており、生じた次年度使用額をこれら検体を用いたシークエンス実施費用などに充当する予定である。
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