2023 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺癌放射性ヨード内用療法における放射線宿酔のリスク因子の解明
Project/Area Number |
22K15846
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高田 紀子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (10896096)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / ヨード内用療法 / 放射線宿酔 / 甲状腺ホルモン / 被ばく / 副作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
分化型甲状腺癌に対する放射性ヨード内用療法(RAI)における急性期有害事象のうち、嘔気や嘔吐、食欲不振などを主要症状とする放射線宿酔の機序は不明である。本研究ではこの前処置の違いやその他の因子と放射線宿酔に関連する種々の症状の発生頻度および重症度を前向きに比較評価することにより、放射線宿酔に関わる因子を明らかにすることが目的である。放射線宿酔に関する因子としては、前処置の違いのみならず患者の体格や元の腎機能など、前処置以外の臨床因子とも関連性があるのではないかとも考えたが、、この点に着目してRAIにおける放射線宿酔の症状を詳細に比較評価した研究は国内、海外含めて見当たらないのが現状である。 本研究結果は、RAIの有害事象のリスク把握と適切な治療管理に生かせるだけでなく、RAIのみならず他の放射線治療でも一般的な副作用として知られている放射線宿酔症状の機序やリスク因子の解明につながる可能性がある。 2023年度までの研究の実施経過であるが、甲状腺癌術後RAIを当院で受けた75歳未満の方を対象に、前処置の違いにより甲状腺ホルモン休薬群とタイロゲン注射群(甲状腺ホルモン休薬を必要としない群)の2群にわけて投与線量及び副作用の関係を検討する目的で被験者を収集してきた。症例の収集状況は前年度とおおむね著変ない程度で、現在50例強の被験者が集まっている状況。目標は70症例(甲状腺ホルモン休薬群、タイロゲン注射群各々30例以上)である。個人線量の詳細な評価については、前年度のSPECT装置の問題などから模擬線源を用いた線量の半定量評価が実施できず細かな点の比較が困難となったが、副作用の比較評価に関するデータについては順調に収集されてきている状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗状況が遅延している主な原因としては、前年度の段階で、RAIで使用されるヨウ化ナトリウムカプセル原料を生成するメインの原子炉に大規模メンテナンスを要する事態が生じたことが挙げられる。それにより長期的な供給制限が生じた関係で、世界的にRAIの実施に制限が生じてしまった。本治療は当院で1つしかない放射線治療病室での数日間の隔離が必要となっており、同期間中に複数の患者に対する治療を行うことができない。また、RAI実施後の放射線治療病室への隔離期間(退室基準である1m線量当量率が30μSv/hをこえない線量まで低下するまで、投与線量によりおおむね1-3日程度を要する)が必要になるため、1年を通して当施設で治療可能な患者数には制限が生じる。上記理由から症例収集自体は多少遅れてはいるが、研究に支障が出ない程度と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の前半は被験者の収集を継続する。これまでの蓄積から被験者データは比較的得られていると思われるので、後半はこれまでに収集したデータを用いて2群間の比較検討を実施し、前処置の種類およびその他因子と、放射線宿酔との関連性について評価していく。得られたデータは今年度の学会発表にて公表し、可能であれば論文の執筆までまとめていくところまで行うことが目標である。
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Causes of Carryover |
当該年度はデータ収集に専念して行っている。収集データは前年度と同様に、費用負担を必要とする内容が含まれていない。また、被験者収集状況が多少遅延しており、目標症例数に達していないことから統計解析、学会発表や論文作成にいたっていない状況である。従ってこれらの手順を全て次年度に行うため、それに必要な費用を次年度に使用する計画としている。
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