2022 Fiscal Year Research-status Report
胸部IMRT施行症例における心臓MRIを用いた心毒性評価と心臓線量制約の確立
Project/Area Number |
22K15847
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鶴岡 慎太郎 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (70896076)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 晩期心毒性 / 強度変調放射線治療 / 心臓MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の放射線治療技術や薬物療法の発展はめざましく、がん治療後に長期生存できる患者が増加している。長期生存例において、放射線治療後半年から数年以上経過して起こり得る晩期有害事象が重要な課題となっており、その一つに心毒性(虚血性疾患や心筋障害)がある。心毒性のリスクを軽減するために照射方法を工夫したり、強度変調放射線治療 (IMRT) の技術を用いたりして心臓の線量を低減する治療が行われているが、現状では臨床的な有効性の報告は少ない。 心臓の形態や性状を画像化するために、心臓MRIが広く用いられている。心臓MRIは放射線被ばくを伴うことなく、形態的・機能的・定量的な評価を一元的に行うことが可能なモダリティーであり、心疾患に対する重要な検査の一つである。過去の報告では、食道癌に対して従来の照射方法で放射線治療を施行した症例において、心臓MRIを用いて心筋障害を描出した報告がある。しかし、IMRTで治療を行った症例においての報告はなく、これらのデータがあれば胸部領域のIMRTの治療計画を行う上で重要な情報になると考えられる。 本研究では、胸部領域の悪性腫瘍に対してIMRTを施行した症例を対象とし、放射線治療前、治療後4ヶ月、治療後1年で心臓MRIを撮像・解析することで、放射線治療後の心筋の変化を調査する。本研究の結果により、胸部領域の悪性腫瘍症例をIMRTで治療することで、晩期有害事象である心毒性を低減することができるかをMRI画像で証明することが可能と考える。 現在、4例の症例を登録し、3例は治療後の心臓MRIの撮像に向けて経過観察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胸部領域へ根治的放射線治療を行う症例において、心臓領域が入る症例がこの一年では少なかった。また、治療開始前のMRI撮像の予定を立てることが困難な症例(治療開始までに時間を要することができない)があり、本研究の紹介や説明が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、適切な症例が放射線治療の方針になった際に迅速にMRI室と連携をとり、放射線治療が開始する前に心臓MRIを撮像する必要がある。MRI担当の放射線技師と詳細な連携を構築し、紹介から撮像までに無駄が生じないように、また患者さんの治療開始が遅れることがないように努めていく。 また、研究責任者だけでなく他の医師とも連携を図り、本研究に適確する症例に対して積極的に案内ができるような体制を整える。
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Causes of Carryover |
症例登録がやや遅れており、心臓MRI件数がまだ少ない状況である。今後も心臓MRI検査費を負担するために研究費を使用する。その他、解析用パソコンや解析ソフト、記録媒体を購入する必要がある。
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