2022 Fiscal Year Research-status Report
4D flow MRIを用いた肝臓の線維化と門脈血行動態に関する非侵襲的評価
Project/Area Number |
22K15869
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
檜垣 篤 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90454850)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 4D Flow MRI / Liver cirrhosi / Hepatic morphology / Portal hemodynamics / Portal hypertension / Esophageal varices |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、以下の2つの課題に取り組んでいる。1)肝硬変:4D Flow MRIを用いた線維化に関連する肝形態学的変化と門脈血流動力学との関連性、2)非侵襲的4D Flow MRIを用いた左胃静脈および奇静脈の直接評価による食道静脈瘤出血リスクの層別化。現在、課題1が完了し、論文として報告した。課題2は進行中である。 課題1の研究では、肝硬変による肝臓の形態変化と門脈血流動態の関連性を明らかにすることを目的とし、100名の患者を対象に4D Flow MRIを用いた検査を行った。線維化の重症度に基づき、患者を正常(A)、軽度から中等度(B)、重度(C)の3つのグループに分類。右門脈(RPV)および左門脈(LPV)の血流動態を定量的に評価し、グループ間で比較した。結果として、RPVの面積が線維化の進行に伴って漸減し、血流量が線維化初期段階で減少することが示された。また、LPVの血流量が線維化の進行に伴って漸増することが明らかとなった。この研究は、肝硬変に伴う血流動態の変化を理解する上で重要な知見を提供し、肝硬変における形態学的変化のメカニズムの一つが明らかになった。 課題2の研究では、肝硬変の重篤な合併症である食道静脈瘤の出血リスク層別化を目指して、4D Flow MRIを用いた左胃静脈および奇静脈の直接的血流評価を行っている。これまでの方法では、非侵襲的にこれらの血管の評価することが困難であったため、本研究は大きな意義を持つと考えられる。現在、35名の患者を対象とした解析が行っており、結果の解釈と統計処理が進めている。目標症例数は50例程度であり、概ね順調に進行している。 今後、課題2の結果が得られ次第、食道静脈瘤出血リスクの層別化に役立つ非侵襲的な診断法の開発につなげていく予定である。本研究は、肝硬変患者の診断および治療に大きく寄与することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は概ね順調に進行していると考えられる理由は以下の通りである。まず、課題1において、研究の目的であった肝硬変に伴う肝臓の形態変化と門脈血流動態の関連性の解明が達成され、論文として報告された。これにより、課題1の研究成果が確立されたことが示される。また、課題2に関しても、既に35例の患者データが収集され、分析が進められている。目標症例数である50例に達するまで、あと15例のデータが必要であるが、これまでの収集ペースを考慮すると、今後も引き続きデータ収集が順調に進むと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は以下のように考えられる。まず、課題2において、残りの15例の患者データを効率的に収集するため、研究対象となる患者の適切なスクリーニングや選定を行うことが重要である。さらに、データ収集が完了次第、統計解析や検討を迅速に行い、研究成果をまとめる。その際、研究グループ内で定期的に進捗状況を共有し、問題点や改善策について議論することで、研究の質を向上させる。また、今後の学会発表や論文発表に向けて、研究成果を効果的に伝えるプレゼンテーション資料や論文の作成を行う。適切な学会や雑誌を選定し、研究成果を発表し広く共有することで、今後の肝臓疾患の診断や治療に関する研究発展に貢献することが期待される。
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Causes of Carryover |
【理由】 新型コロナウイルス感染症パンデミックが影響し、施設の基準により学会出張が制限されたため、当初予定していた国際学会と国内学会への出張費用を当該年度中に使用できなかった。このため、助成金の一部が繰り越しとなった。【使用計画】 翌年度には、新型コロナウイルス感染症の状況が改善され、再燃しないことを見込み、学会出張が可能となることを期待している。そのため、次年度には以下の計画に基づいて使用額を活用する予定である。1. 国際学会への参加: 研究成果を海外の専門家と共有し、国際的な評価やフィードバックを得ることで、研究の質を向上させる。2. 国内学会への参加: 国内の専門家とも研究成果を共有し、意見交換や協力関係の構築を図ることで、研究の進展を促す。3. 研究資材の購入: 研究に必要な資材や機器があれば、繰越金を活用して購入する。研究環境の充実を図り、研究の効率化や質の向上につなげる。4. 研究成果の公開と普及: 繰越金を用いて、論文の投稿費やオープンアクセス料を支払う。研究成果を広く公開し、他の研究者と知見を共有することで、研究分野全体の発展に貢献する。以上の計画により、当初予定していた助成金の活用を適切に行い、研究の進捗を促進する。
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